国産のコンピューター向け基本ソフト(OS)、「TRON(トロン)」が再び脚光を浴びつつある。現在は、主として携帯電話や自動車の制御といった目立たない分野で使用されているが、搭載した製品数では米マイクロソフトの「ウィンドウズ」を大きく上回る。今後は、エアコンや冷蔵庫などの家電製品もインターネットを通じて操作、管理するネット家電の時代が到来するとされ、これらの制御に有用なトロンの役割はさらに増大するとみられる。
トロンは、一九八四年に坂村健東大教授が開発。一時は教育機関のパソコン用OSとして採用が検討されたが、米企業の対日進出を阻む非関税障壁だとの非難を受け、実現しなかった経緯がある。
こうして表舞台からは消えたものの、各企業に無償での使用を認めたため、携帯電話やコピー機などの制御用OSとして定着。搭載する製品は「年間五億個に上り、ウィンドウズの比ではない」(坂村教授)という。