米有力調査機関のカンファレンス・ボードは、日米の経済力などを反映してドル高傾向が当分続き、今年中に1ドル=142円台になる、とのリポートをまとめた。米産業界にはドル高が業績不振の一因とする見方が強まっており、ブッシュ大統領が日本政府に「円安阻止」を求めるよう圧力をかけているが、米産業界の懸念を裏づけた形だ。
リポートは「ドル高の結果、米産業はコストを下げるために生産性向上の取り組みを強め、それがさらに米国の競争力増加によるドル高を招く」と予測。ドル高は米国への資金流入に拍車をかけるので、米一極集中が世界金融市場をさらに不安定にしかねない、としている。
不景気で昨年7万人近くが失業した米繊維業界は、今年になって業績悪化の主な要因としてドル高を強調、ブッシュ政権に「強いドル政策の見直し」を求めている。「日本政府の円安政策は米メーカーの競争力を奪っている」という急先ぽうの米自動車業界では「日本の自動車メーカーは円安効果を享受して生産や開発力を増強できる」(フォードモーター)と批判し、ブッシュ大統領に圧力をかけている。
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