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(回答先: 福間日銀審議委員「国債購入の上限撤廃も」 (日本経済新聞) 投稿者 sanetomi 日時 2002 年 10 月 24 日 23:04:47)
日本銀行政策委員会の福間年勝審議委員は24日午後、福岡市内で記者会見し、今後の金融政策の方向性について、財政出動に合わせた国債買い切りオペの増額や国債買い入れの上限の撤廃について、「そういったことを含めて総合的に考えるということであり、可能性をすべて排除するものではない」と述べた。
福間委員は「個人的には先制的に動かないとわれわれの狙いが出てこない場面もある。慎重、慎重というわけにはいかない。やるのであれば効果を上げたいし、タイムリーなことが大事だ。(国債買い入れの上限を)取っ払うというような事態には遭遇していないが、リジット(厳格)に考えるだけでいけるのか。そのときの状況をみて考えないといけない。予断をもたないということだ」と語った。
福間委員は一方で、「日銀が何でもやるかというと、規律も必要だ。中央銀行は通貨の価値の維持を至上命題としている機関だ。そこだけは注意しなければいけない」と述べた。
次回30日の金融政策決定会合での追加緩和の可能性については「デフレ対策の内容をみたうえで(判断する)ということであり、一般論として金融政策と財政政策が逆向きに動くということはなく整合的に動くものである」と言明。政府のデフレ対策の内容次第では、追加緩和に踏み切る考えを示した。
福間委員はそのうえで具体策として「とりあえず今までの方式で対応が必要ならやっていこうということであり、私の意見では新しいものが出てくるということではない」と言明。政策対応が必要な場合は、量的緩和政策の枠内で当座預金残高目標の引き上げや国債買い入れの増額が念頭にあるとの見方を示した。
株式市場の不安定化に伴って流動性需要が増大した場合、「きょうそういう状況になれば、『なお書き』を運用すればよい」と指摘。そのうえで、「恒常的に需要が高まるのであれば、(当座預金目標の引き上げに加えて)例えばオペのやり方を考えてみたり、(日銀が受け入れる)担保の範囲を広げてみたり、国債の買い入れを増額することもあると思う」と述べた。
講演で、「日銀では中小企業が保有する売掛債権を直接証券化の裏付け資産として活用する仕組みを整備してはと考えている」と述べたことについては、「中小企業の債権の証券化に(日銀が関与することに)ついては、いろいろと金融市場局とか中小企業庁が検討している。具体的には(まだ)発表するようなものではない」と述べた。
会見の一問一答は以下の通り。
−−講演で「最近は金融政策の面ではやや注意すべき局面になってきた」、「引き続き機動的かつ弾力的な政策対応を心がけていきたい」と述べたが、追加緩和の手法は従来の量的緩和の延長線なのか、まったく新たなスキームを考え出すのか。
「中央銀行だから、伝統的な金融政策を真中においてやらなければならない。それを補完するうえで、必要なことがあれば併用するということで、とりあえずは、今までの方式でさらに対応が必要ならやっていこうということだ。新しいものが出るということは、わたしの意見ではない」
「講演で述べたのは、ここのところ不良債権問題をめぐって資産の評価の問題や、金融行政が大きく転換するのではないかといった思惑で、やや市場規律に似たような動きが株式市場に出ている。これに対して、予断を持たずに動く必要があるのではないか、ということだ。それが機動的という意味だ。今直ちにおかしいと言っているわけではないが、(今でも)株と連動しながら、短期市場で少し変化が出ることがある」
「量的緩和については万全を期しているので、(資金は)量的にはダブダブだが、それでも(資金が)偏在するときもあるし、デフレ対策が発表されることとの整合性もあるかもしれない。そういう場合に動くことを予告するものではないが、プラザ合意以降の金融政策を見ても、財政と金融はいろいろな局面で整合的に動いている。そういう意味で、必要な場面があれば出ていくということを、今のところは一般論として申し上げた」
−−政府のデフレ対策で国債増発の必要が出てきた場合に、日銀内部でも国債の買い入れ増額が必要との声があると聞いている。また、仮に国債買い入れが従来の規模を超える場合に、日銀券の発行残高という歯止めを超える可能性があるのか。
「もちろん、そういうことも含めて総合的に考えなければいけない。要するに、可能性をすべて排除するものではないということを申し上げた。非常に難しいのは、今は市場経済のもとで、市場に対して受身に反応するのではなく、わたし個人の考え方では、やはり先制的に動かなければ、われわれの狙いが出てこない場面があると思う」
「『われわれは慎重に、慎重に』というわけには行かないと思う。やるのであれば、効果を上げたいし、それにはタイムリーなことが大事だ。日銀券の残高の問題も、それで(国債買い入れの上限を)取っ払うとか、新たな概念を入れてくるとか、そういう場面にはまだ遭遇していないが、だからといってリジッド(厳格)に考えるだけで行けるのか。そのときの状況をみないと、市場は生きているので、あまり予断を持ちたくない」
「では、何でもやるのかというと、財政規律が必要なのと同様に、金融規律は基本的に必要だ。われわれは通貨の価値を至上命題とする機関なので、そこだけは注意してやらなければならない」
−−講演で「日銀では、中小企業が保有する売掛債権を直接証券化の裏付資産として活用する仕組みを整備してはどうかと考えている」と述べたが、具体的に金融調節オペ手段の拡充を検討しているのか。
「中小企業の(売掛債権の)証券化については、今、金融市場局や中小企業庁がいろいろと検討している。ただ、今ここで具体的に発表されるようなものはない」
−−米政府の高官らがマネタリーベースの伸び率を維持すべきと主張しているが。
「機械と油の関係に例えると、いくら油を注いでも、経済活動という機械が動かなければ効果はなかなか発揮しない。一方で、だからマネタリーベースをどんどん下げても良いということも、今の状況では暴論だと思う。ただ、今までこれだけやっているから、これだけ伸ばせとか、(今以上に)上げろと言っても、経済が回復してきたときのオーバーリアクションを考えると、やっている途中は良いが、達成したとたんにいろいろなところに弊害が出てくる」
「資金を吸収するときの市場に与える影響もあるだろうし、その過程で、金融政策に対する規律の問題で、疑問を持たれることもあるだろう。その反対側で、国債の買い入れを増やしていけば、今度は財政規律が問題になる。やはり、そのへんは市場を測りながら、経済の実態をみながら、総合的に見ないと、ただこれ(マネタリーベース)を伸ばせば良いということにはならない」
−−確認だが、株式市場が不安定化し、短期市場で流動性需要が増大した場合、現在の量的緩和の枠組みで、当座預金残高目標や国債買い入れの増額で対応するということか。
「今、今日(流動性需要が)出たらどうかと言われたら、それはなお書きを運用するということになる。仮定の話だが、その場合は15兆円を越えて、20兆円にも25兆円にもなると思う。そうではなくて、それを常態化させないといけない場合、万一目標を変える場合は、金融調節手段としては、まだまだ他にもいろいろなものがあるが、それも使い果たしてしまうと、国債の増額も可能性としてはまったく排除できない」
「恒常的な(資金)需要があるということになれば、たとえばオペの在り方を考えてみたり、あるいは(日銀が受け入れる)担保の範囲を広げてみたり、あるいは国債の買い入れを増やすということもあると思う」
−−今の話は、株式市場が不安定化し、短期市場で資金需要が増大することが前提になっている。次回30日の金融政策決定会合の前後には、政府のデフレ対策や不良債権加速策が出てくる。このタイミングで、仮に資金需要がなくても、当座預金目標の引き上げや国債買い入れの増額、あるいは担保範囲の拡大といった手段を取ることもあり得るのか。
「それは先ほども触れたが、デフレ対策の内容をみたうえで、ということになる。先ほど一般論として述べたように、財政政策と金融政策が逆に向かって動くことはあり得ない。整合性を持って動くものだ。デフレ対策のなかに、財政政策がどのように盛り込まれるのか、今の段階では予想できない。先ほども言ったように、先制的に動くということは、そういうことも含めている。そういうことも必要だ」