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ノーベル経済学賞のスティグリッツ教授へのインタビュー(2) 投稿者 TORA 日時 2002 年 10 月 22 日 14:40:59:

(回答先: スティグリッツ教授の提言政策批判:事象的な説明は正しいが政策提言は有効なものではない 投稿者 あっしら 日時 2002 年 10 月 21 日 18:35:30)

2002年10月22日
(インタビューの続き)
「日本経済への提言」

「日本はとても重要な役割を持っていますし期待もされています。しかし国際社会でもっと積極的役割を果たすべきではないでしょうか。一つ例を挙げて見ましょう。ご存知のように日本は有数な対外援助国です。これまでアジアの発展には大きな貢献をしてきました。アジア通貨危機が発生した直後のことです。IMFが提示した処方箋とは別に日本は独自に重要な提案をしました。アジア通貨基金という構想です。

日本はアジアの国々を救済するために1000億ドル提供する用意があると申し出ました。ところがアメリカとIMFが反対するとあっさりと大幅に縮小してしまいました。実現していれば立派な地域内のリーダーシップとなったことでしょう。あのとき日本は「IMFのモデルは間違っている、IMFはやり方を変えるべきだ」という自分の意見を公の場で主張することはしませんでした。IMFや国際社会に対して議論を挑もうとはしなかったのです。

アジアにおける影響力の低下を恐れたアメリカとIMFが強く反対すると日本は引き下がってしまいました。日本の主張は100%正しかったのです。日本には優れたリーダーシップを発揮する可能性があります。独立した声を持ち他とは違う見方が出来るからです。日本の資本主義はスイスともアメリカとも違います。アメリカの資本主義に問題があってもそれが適した国もあるし、アジアの資本主義が適した国もあります。

急成長している中国も別の市場経済の形を取っています。それぞれの国に適した資本主義があるのです。自分の進む道を決めるのはその国自身だよと言える事が日本なのです。それぞれの国が自らの道を選べるようにしようではありませんか。日本はその為の非常に重要な役割を担っています。

「日本経済への処方箋」

日本が直面している困難な状況は現在世界中のエコノミストの注目の的になっています。日本にとって非常に難しいのは構造改革が長期的には正しくても、短期的には経済を弱体化させてしまうという点です。つまり、金融システムを改革する時には貸し渋りが起こるので、更なる経済不況を招いてしまいます。

ただ日本がとりうる方策は二つあるという点で専門家の意見は一致しつつあります。第一は円安政策です。適切な水準で上手く安定させることが出来れば非常に有効でしょう。そうすれば日本製品を輸出しやすくなります。もっともアメリカの反発を心配することにはなるでしょうけどね。しかし他のアジア諸国と日本経済とは明らかな違いがあります。タイなどの国で通貨が安くなれば、これらの国は完全に対外債務国ですから債務が実質的に増えてしまいます。

しかし日本の場合完全な債権国ですから、通貨が安くなればドル建て手持つ資産の価値が上がるわけです。円安で海外資産の価値があがることで企業にもプラスに働き経済を刺激することになります。

もう一つはもっと金融緩和を行うというべきだという点です。日本ではインフレに対する懸念が強すぎるのではないでしょうか。しかし日本の問題はインフレではありません。ですから物価を少し上げることは正しい政策なのです。少々のインフレは経済に好ましい影響を与えます。ですからそれを目標にした政策が必要です。方法はいろいろ考えられます。日本経済の改革は短期的にはそういう方向を目指すべきだと思います。
(インタビュー終わり)

現在の日本経済の一番の課題がどのようにして金融緩和を行うかという点です。日銀は馬鹿の一つ覚えのようにして金利を下げてきました。それが実質的にゼロのなってしまってはこれが限界です。もっと早い内に下げれば効き目があった事でしょう。マスコミや外資系エコノミストがバブルが再発すると騒ぎ立てたから、日銀も大胆に動けなかった。

その次は金融の量的な緩和ですが、これは徐々に増やし始めています。しかしながらこれも銀行に滞留し、銀行は融資を緩めず、国債ばかり買っています。今までならお金がだぶつけば株式市場にも流れたのですが、株式の持ち合い解消で銀行は売り手に回っています。個人も買い時と思えば金融機関から金を借りて株に投資されましたが、株式税制の改悪でタンス株券すら売りに出されている。つまり量的な金融緩和も効かなくなってしまった。

こうなれば政府か日銀が直に金を使って資金と需要を作り出さないと景気刺激政策にならなくなりました。今までは公共事業がその役割を果たしてきました。しかし景気刺激にはなっても金融危機の解消にはなりません。金融危機の解消には、資産デフレの解消が必要です。資産デフレの解消には、税制の改正や、株式買取機構や日銀による株式買取が必要になってくる。具体的にはバブル発生前の税制に戻す必要があります。

このようにして資金が市場に流れ出れば、海外へ円が流れ円安にもなります。円安になれば輸出企業が儲かり、製造業の海外進出が止まり失業問題も解決されてきます。株式市場が底打ちして地価も下げ止まれば、買い手も次々と出てくることでしょう。そのような状態になって不良債権の処分が出来るようになる。竹中大臣のやろうとしていることは順番が間違っている。

私は「株式日記」で2001年5月31日に「江戸幕府の通貨政策」を書きました。徳川吉宗の時の大岡越前の守の通貨増量政策でデフレを解消した事を解説しました。通貨を増量して幕府が米を買い上げればデフレは解消した。これを現代に当てはめれば、日銀が直接株や土地を買うことと同じことだ。ただし安易な株式増資はしばらく禁止しないと効果はない。

http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu40.htm

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