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☆サスガ日本のエリート！役人って頭がいいなあ

破綻国家の内幕　公共事業、票とカネ、天下り　利権の構造 東京新聞取材班著
政官業の癒着、細部まで抉る
本紙掲載2002年10月06日

　政官業の癒着。政治家は「票とカネ」、官僚は「天下り」、業界は「利益」を求めて、持ちつ持たれつの関係にある。誰でも知っている日本政治の構図である。おそらく知られていないのは、利権の開発と維持の努力が、そこまでするかというほどに、周到になされていることであろう。本書の価値は、執拗（しつよう）な取材を重ねたうえで、細部まで抉（えぐ）るように入り組んだ関係を描き出していることである。

　たとえば、「報酬月額×在職月数×３６％」という計算式がある。特殊法人のトップの退職金を決める式らしい。４年で２３００万円になる。高級官僚が退職後に特殊法人に天下り、高い報酬を得ることは広く知られているが、このような計算式は本書で初めて見た。天下り後の高給を、現役時代の安い給料にもかかわらず激務に耐えたことに対する「遅れて支払われた報酬」であるとして正当化することもできるが、在職月数をベースにする式を見せつけられると、さすがに弁護する気力は失（う）せる。

　天下り先を確保し、そこに仕事を回す仕組みをつくる能力は相当なものである。郵政関係では「日本オンライン整備」が全国の郵便局にある現金自動預入払出機（ＡＴＭ）の保守点検を独占的に行っている。農林関係では「日本農業集落排水協会」が農村の下水浄化システムの規格を決め、市町村にそれを採用するように働きかける。いずれも価格は割高になるだろう。建設関係では、どんぶり勘定の体質を改めるために「建設業経理事務士」という資格が設けられた。試験は「建設業振興基金」が実施している。関係業者はこの資格を取らざるをえない。こうした例が本書には次々と出てくる。

　役人にしておくにはもったいないほどの鋭いビジネス感覚である。問題は、これらの組織に、公的な資金が特殊法人、公益法人、民間企業など複雑な経路を経て、つまりは「資金洗浄」を経て、流れ込んでいることである。

　類書は多い。しかし、本書の場合、憤ることなく、克明かつ淡々と報告しているために、かえってずしりと響いてくる。

　評者・真渕勝（京都大教授）

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