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政府と日銀が経済政策を協調して運営する「アコード(政策協定)」がにわかに注目されている。竹中平蔵金融・経済財政担当相が3日、速水優・日銀総裁との会談で、提案したのがきっかけ。日銀は「インフレ目標策導入につながる」と消極的だ。「アコード論」浮上の背景やインフレ目標策の是非について整理した。【白戸秀和】
Q 竹中氏の提唱する「アコード」って?
A 簡単に言うと、デフレ克服に向けて政府・日銀が協調して政策を打ち出そうということだ。政府は大規模な減税、規制緩和、不良債権処理加速などの構造改革を進める一方、日銀は一層の金融緩和などで支援するという役割分担だ。しかし、日銀は「そんな話は出ていない」と、竹中提案の存在すら否定し、火消しに躍起だ。それほど神経質になるのは、アコード導入は日銀の独立性を危うくすると心配しているからだ。
Q どうして?
A 最初のアコードは、51年に米政府と米連邦準備制度理事会(FRB)の間で結ばれた協定を指す。これは「金融はFRB、財政は財務省」と両者の役割を明確にしたもので、FRBの独立性向上につながった。これに対して、竹中氏の持論は「政策の手段の独立とは別に、政策の目標は共通にすべきだ」というもの。政府がインフレ目標を設定し、中央銀行に政策金利の決定をまかせる英国の例を念頭に置いているようだ。
Q 具体的には?
A 例えば、政府・日銀が共同でインフレ目標として「前年比プラス2%の物価上昇率」を設定し、達成のための手段は日銀に任せるという案だ。日銀から見れば、目標設定で政府の関与が強まれば、金融政策の選択の幅が狭まり、結果的に日銀の独立性は失われる。そうなれば、今は実施していない政府からの直接購入を含めて、国債をどんどん購入せざるを得なくなり、財政の規律が緩む懸念もある。
インフレ目標策は、これまでに、英国やニュージーランドなどで採用例はある。しかし、いずれもインフレ抑制のための政策であって、日本のようなデフレ経済下での採用例は戦後、例がない。
Q インフレにするのは難しい?
A 今回のインフレ目標策提案は、国民にインフレ期待を醸成させて、消費や設備投資を奨励し、経済活性化につなげることを狙っている。一部の有識者には、日銀が目標達成のために、株式や不動産などを買えば市場への資金供給が増え、インフレになるという見方もある。これに対して、日銀は「現状でも思い切った量的緩和を続けているのに、インフレ期待は生じていない。財政出動や規制緩和などで政策を総動員しないとインフレ実現は無理」との立場。FRBのグリーンスパン議長もインフレをコントロールするのは難しいと導入に否定的だ。
しかし、海外からも日本が一段の金融緩和に踏み込むことを求める声は根強く、今回の提案で、導入に向けた議論に火がつく可能性がある。