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「必要な政策スタンスの『転換宣言』」 投稿者   日時 2002 年 10 月 18 日 12:58:05:

(回答先: 『竹中デフレ』か『長期衰退症候群』か」 投稿者 日時 2002 年 10 月 18 日 12:54:34)

☆この意見も最近は「定説」化してるみたいだが、国債利率のアップの影響とか、具体的な数値と見通しが欲しいもんだ。


(日本総合研究所 調査部長 高橋 進氏)

最終更新日時: 2002/10/17
 前回、わが国が景気回復、構造改革、不良債権処理が3すくみの状況にある以上、いずれかの政策を個別に進めてもデフレの強力な呪縛を断ち切ることはできない。3つの課題に同時に取り組むことで初めてデフレ脱却の糸口が掴めることを指摘した。こうした取り組みは、これまでの小泉政権の改革スタンスをさらに徹底するものとみることもできるが、不良債権処理への踏み込みをきっかけに政策スタンスを大きく変えることを意味する。小泉政権は政策転換を内外に対してはっきりと宣言し、整合性の取れた政策をパッケージ化して改めて提示し直すことが望ましい。それによって、改革への求心力を高める一方で、デフレ・スパイラル懸念を払拭する必要がある。

 小泉政権は、内閣改造後、2004年度中に不良債権問題からの脱却を宣言している。これは、現下の状況下では極めて困難な課題と言わざるを得ないが、こうした厳しい目標を達成するためには、金融システム安定化、経済活性化、中期的な財政運営の3つの政策を相互に整合性の取れた形で、総合的な施策を策定・実行に移すことが必要である。

 金融・不良債権問題への対処

 金融システムの安定化と再生のためには、現在が異常事態の状況にあるとの認識に立った上で、以下の原則で不良債権問題に対処することが必要。

 第1に、破綻懸念先以下に分類される不良債権についてはRCCを活用して最終処理を促進。一方で、銀行は、要注意先企業を選別しつつその再生を全面的に支援することで産業再生、マクロ経済の活性化につなげる努力をする。

 第2に、公的資金は、新規の不良債権の発生を食い止め、デフレ脱却の糸口を掴むためのコストとして、産業・企業再生のために使用。ただし、金融機関の再編・合併促進や破綻処理が必要な場合には、預金者保護の観点から事後的に公的資金を使用。

 第3に、郵貯・政府系金融機関活動領域の縮小と市場原理の導入による効率化を徹底する。企業再生の観点から、民間金融機関ではできない資金供給については、政府系金融機関を活用する。

 以上を踏まえて、当面2年間を金融システム健全化期間と位置付けて、日銀による銀行保有株式の買い上げや、金融システム改革のために必要となる公的資金をRCC、銀行等保有株式買取機構などに対して、円滑に供給する。さらに、時価会計・減損会計・ペイオフ解禁を2年間完全凍結する。

 財政運営の転換

 小泉政権は、10年後にプライマリーバランスを黒字化するという目標を設定し、中期的な財政健全化の達成にかなりのウェートを置いた財政運営を行ってきた。しかし、国債発行30兆円以下という目標は、景気悪化による税収の落ち込みから、すでに放棄せざるを得なくなっており、来年度予算の一般歳出マイナス目標も相当なデフレ作用を持つ。不良債権問題を2004年度までに解消することを目標に据えるのであれば、中期的な財政健全化に向けた規律は維持しつつも、当面2年間は、プライマリーバランス黒字化目標の対象年次からはずし、財政による非効率な資源配分をもたらしている各種のシステム(財投、補助金、交付金等)の抜本改革を断行する期間と位置付ける。この間、日本経済の将来をリードする戦略分野(IT、バイオ、ナノテク等)や、地域を限定した「構造改革特区」に対しては、大胆な予算配分を断行し、単年度の財政バランスに拘る姿勢から脱却する。税制改革についても、当面2年間については、ネット減税幅を2.5兆円から5兆円規模に拡大する。

 総合的な経済活性化策の必要性

 日本経済の将来の成長分野を切り開くとともに、企業の生産性向上や収益体質強化のための構造調整努力を側面からサポートすべく、予算、規制改革、税制改革を三位一体で組み合わせた「総合的な経済活性化策」を断行する必要。

 第1は、投資減税、規制改革、研究開発重点化をセットにした、イノベーション喚起のための中期プログラムの策定・実行である。具体的には、(1)研究開発税制の強化、(2)IT投資への税額控除のほか、(3)わが国競争力の基盤である製造設備の法定耐用年数の短縮など、企業の生産性向上、・競争力強化につながる投資減税を打ち出す必要。

 第2は、新規産業育成、産業再生を促進する総合プランの策定・実行である。業界代表・所管官庁・学識経験者等からなる「産業・企業再生委員会」を設け、問題企業の多い産業ごとに「産業再生ビジョン」(業界成長率の見通し、新規分野の現実性等を検討)、有望産業分野ごとに「新規産業創造ビジョン」を策定。これをもとに、個別企業の再生、産業全体の再編、新規産業分野の創造について官民一体となって取り組む必要がある。

 このシナリオを円滑に進めるべく、再就職支援・雇用安定化が効率的になされるような雇用の安全網の整備も必要である。雇用保険の対象外であったり、十分に保護されていない労働者に対する生活支援策の実施や、離職者の身になったきめ細かい再就職支援体制の整備が不可欠である。

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