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「『日本も韓国に見倣え−』ということを合言葉にここ最近、日本国内では不良債権処理問題に関して“韓国ブーム”が起こっている。しかしこのブームに乗る形で韓国方式で日本の不良債権処理問題の解決を図ろうとするならば、それはあまりにもリスキーだ。少なくともマーケット関係者の多くはそう見ている。『日本が不良債権問題に関して韓国方式に乗るようであれば、日本株はウリ』、とマーケットサイドが判断していることを日本の政策当局者は自覚して欲しい」
大手金融機関のマーケット担当責任者がこう断言する。
10月16日発表の米有力週刊誌、『ニューズウィーク(10月23日付、日本版)』が、「師弟関係が逆転する日−アジア経済 大手術で復活した韓国が改革にもたつく日本を猛追している」と題するリポート(東京発)を掲載している。
この“リポート”のポイントは、以下に紹介する部分にあると言っていいだろう。
〈−中略−(須田補足、韓国は一九九七年末に深刻な金融・通貨危機に見舞われ、銀行業界は総与信額の20%に及ぶ不良債権を抱えるに至った)IMFの支援を背にした金大中大統領は、ぬるま湯につかっていた財閥と銀行の関係を即座に断ち切った。6大銀行をすべて国有化し、多くの銀行を破綻させ、銀行業界の人員を40%減らし、生き残った銀行には1300億ドルの公的資金を注入した。30あった財閥のうち、3番手の大宇を含む14を解体した。「財閥は大きすぎてつぶせないと誰もが思っていた」と、大統領特別補佐官の李起浩は言う。「しかし私たちは、その神話を打ち破った」金大中の改革で市場は息を吹き返した−後略−〉
少々長い引用になって恐縮だが、韓国で行われた金融改革を高く評価するここ最近の日本国内の報道は、そのどれもが前述のリポートと酷似したパターンをとっていると言っていいだろう。
「しかしぜひともここで注目して欲しいのは、IMFが主導する形で経済・金融改革を実施した国で、改革に成功した国はわずかに韓国しかないという点です。メキシコ、ブラジル、ロシア、そのいずれもが失敗に終わっているのが実情です。唯一の成功例が韓国なのです」(前述のマーケット担当責任者)
米系証券会社首脳が言う。
「言うところの『日本も韓国に見倣え−』とは、IMFの意向なのです。そして“IMFの意向”ということは、米国−具体的にはホワイトハウスの意向なのです」
しかし、その“唯一の成功例”とも言える韓国では一連の金融改革によって、実に驚くべき事態が進展していたのである。
韓国の株式マーケットの時価総額に対する外国人持ち株比率は、98年段階で14.54%だったのが、2002年には37.24%にまで急上昇したのである。
また10大財閥の外国人持ち株比率は、98年の21.03%から02年1月段階で43.55%まで上昇している。
ここで言う“外国人”とは、その大部分が“米系”だ。
「つまり、簡単に言ってしまえば韓国経済は米系資本に乗っ取られてしまったのです」(欧州系証券会社アナリスト)
本稿冒頭で登場したマーケット担当責任者が言う。
「繰り返しになりますが、IMF主導の経済・金融改革で成功した例は、唯一韓国しかありません。それだけに“IMF方式”で不良債権処理問題の解決を図ることは、あまりにもリスキーなのです」
自民党有力国会議員が言う。
「そうした一連の事情を知ってか知らずか、竹中平蔵経済財政・金融相は、韓国の成功例を見倣う、と言い出しているのです」
“いいとこ取り”の竹中氏のまさに本領発揮というところだが、もはやこうした人物にはお引きとり願った方が賢明だろう。