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エコノミスト「"危機・再生の証券重視"株・債券拡販!」慶応・吉野氏 投稿者 Ddog 日時 2002 年 10 月 08 日 09:01:19:

(回答先: 「後退途上国」 投稿者 Ddog 日時 2002 年 10 月 07 日 19:33:55)

エコノミスト「"危機・再生の証券重視"株・債券拡販!」慶応・吉野氏
NAA 9409 : 2002/10/08 火曜日 08:00

QUICKエコノミスト情報 VOL.61 「9月のエコノミスト情報U」 2002/10/7

気がつけば10年停滞、そして、今なおデフレに喘ぐ日本経済。9月のエコノミスト情報
でも、日本経済の脆弱さと、頼みの米国経済が景気失速リスクとなっている点が指摘さ
れた。一体、日本経済はどうなっているのか、何が起こっているのか。そこで、エコノ
ミストとは別の視点から複数の有識者に現状と展望を伺った。前回の立教大学・斎藤精一
郎教授(9/30 QZ5806)に続く今回は、吉野直行・慶応義塾大学経済学部教授です。

「"危機・再生の証券重視"株・債券拡販!」吉野直行・慶応義塾大学経済学部教授

【問】日本経済の現状をどう見ますか。
【答】日本経済は大きく6つの問題を抱えている。一つ目は、90年代、日米欧ともに産業
構造に占める製造業のシェアが低下する中、英米では金融サービス業がそれを補う形で
成長したのに対して、日本ではむしろ金融業の生産性は低下しているという問題。二つ
目は、バブル崩壊で資産価格が下落したが、金融政策が上手く機能していないという点
だ。日銀のハイパワードマネーは非常に高い伸び率を示しているが、銀行貸出、マネー
サプライはなかなか伸びない。三つ目は、日本企業の設備投資が金利に感応的でなくな
っているという点だ。ゼロ金利にもかかわらず設備投資が伸びない。投資の利子弾力性
がほぼゼロであるということが景気低迷の大きな要因となっている。四つ目は、90年代
以降、社会資本の限界生産力が落ちているという点だ。50年代、60年代には高かった社
会資本の生産性が、70年代半ばから低下し始め、80年代以降著しく低下している。これ
は、公共投資の社会資本形成による長期的な景気刺激効果がそれ程高くないということ
を意味している。五つ目は、少子高齢化が進行する中で、どうしても消費意欲は低下し
、新しいものを追求しようというスピリットは減退するから、生産性は落ちる。六つ目
は、財政赤字拡大、つまり国債の大量発行問題だ。

【問】その中で特にどれを問題視されますか。
【答】財政赤字と金融業低調の問題だ。先ず、財政赤字の拡大だが、これ以上の国債の
大量発行は、日本経済に多大なマイナスの影響を与える。国債の大量発行の引き受け手
が金融機関であるという現状から、金融機関に集められた預金等の資金が、国債保有に
向かってしまい、企業や個人への円滑な資金供給はさらに悪化する。将来的に金利が上
昇すれば、増加する国債利払い費や国債償還費は財政を圧迫し、社会保障費や教育費な
ど政府支出の削減が迫られる。だから、今、何としても支出で削れるところは削り、税
収で増やせるところは増やして財政赤字削減に取り組まないといけない。例えば、国有
財産を信託形式にするなどしてもっと活用する。いろいろなやり方によって国全体の収
入を増やすことを考える必要がある。
同時に、国債費削減の方向をどうするかを国民がもっと真剣に考えないといけない。
日本国民の悪いところは、大量の国債発行は国の責任であって自分の問題ではないと思
っているところにある。国債発行の裏側の理由を考えればすぐわかることだが、例えば
、年金生活者が年金給付を受けている裏側にはその財源として国債を発行している。国
立大学の学生の授業料や農家への補助金なども同様だ。裏側には国債発行がある。とこ
ろが、日本国民にはその意識が全然ない。自分が受け取っている年金や、授業料、補助
金などは国債とは関係ないと思っている。やはり、我々国民ひとりひとりがどういう形
で財政赤字を解消出来るかをもっと真剣に考えないといけない。国から給付を受けてい
る年金、授業料、補助金、高い保証などをいかに少なく出来るか、どういった形で財政
赤字を減らして行けるかを考えなければならない。
次に、90年代に日本の金融サービス業が成長してこなかった点だが、これは、日本の
金融機関が海外でのビジネスを積極展開せず、また、海外運用で実績を上げられなかっ
たことなどに見られる。金融機関が海外で稼げばそれだけ利子所得、配当所得が増えて
、個人や法人の投資家の所得も増える結果となる。だから、アジアなどもっと成長が期
待出来る地域で資金運用すべきなのだが、日本の金融機関には海外運用のプロフェッシ
ョナルが育っていないことや、経営者の多くが国内成功経験者であることなどから、日
本の金融機関は国内で集めた資金の大半を、低成長続ける日本国内で運用する事態とな
っている。マイナス成長の国内で多くの資金を運用すれば、不良債権が増えるのは当た
り前だ。国内の経済成長が見込めないのなら、日本ではなく、アジアなど海外の各市場
でプロフェッショナルを雇うなどしてもっとグローバルな資産運用を考えないといけな
い。

【問】護送船団方式の金融行政が金融弱体化の元凶のひとつと指摘されています。
【答】日本の金融機関は、本来なら商品性や価格で競争すべきであったが、金融商品の
制限、金利規制など様々な制約が課せられたため、本来の競争が行なわれてこなかった
。金融機関を破綻させないという行政が実施されていたため、これが金融機関の成長と
市場活性化の大きな足かせとなった。
金融機関再生と市場活性化を図るには、全国の郵貯・農協・地銀などで、株・債券を含む
さまざまな金融商品を販売する、という手もある。これは、日本の預貯金比率を下げ、
預貯金以外の株式、債券、投信などいろいろな金融商品を個人が選択出来るようにする
ことで、今の間接金融重視から市場型の直接金融重視への流れを加速することを目的と
するものだ。身近な店舗で、様々な金融商品を扱う。民間金融機関の店舗が少ない地方
では、郵便局や農協、信用金庫、信用組合、地方銀行の窓口にあらゆる金融商品を並べ
、どの地方でも様々な金融商品に利用者がアクセス出来る体制を整える。これによって
、本来の収益性の差、信頼性の差などによって利用者が様々な金融商品を比較し、選択
出来るようになる。金融機関の競争促進だ。
規制に守られ過ぎた産業は弱くなる。競争原理導入で弱い金融機関の市場退出を促し
、強い金融機関が生き残る。よい金融商品を作る金融機関は、販売チャネルがなくとも
成長し、競争と効率化が金融機関の体力強化と金融市場の活性化に繋がっていく。

【問】郵便局や農協などでリスク商品の説明は可能でしょうか。
【答】確かに、窓口での販売は難しいとの指摘もある。それならば、テレビ電話を郵便
局や農協の窓口に設置して、利用者が直接、それぞれの金融商品のセールスマンから説
明を受けられるようにすれば、説明責任の問題も回避出来る。郵便局は、店舗の少ない
民間金融機関の代理店としてさまざまな金融商品の代行販売を行い、預貯金ばかりでな
く、株式、債券、投資信託、民間保険、なども含めた様々な金融商品を販売することに
よって、国民の金融サービスのインフラとしての機能を発揮する。

【問】民業圧迫とはなりませんか。
【答】圧迫だとすれば、郵貯の最高限度額を500万円に引き下げればよい。そういうやり
方だってある。それ以上の金額を運用したい顧客には、民間のさまざまな金融商品を選
択して頂くということだ。もちろん、こうした財政赤字や金融再生問題の克服以外にも
、R&D技術進歩の継続性や、農産物や建設等分野でのさらなる輸入自由化と競争促進、人
的資源の強化と教育の見直し、その他やるべきことはたくさんある。そして、どんどん
やれば日本経済は活性化する。

【問】実行しなければどうなりますか。
【答】財政赤字が解消されずに累積債務国と同じ様な状況に陥っているかもしれない。
削減できる支出は減らし、日本の金融・サービス業の海外での活動を活性化させることに
よって税収を増やすことも大切だ。

【問】危機目前なのに日本国民の表情は決して暗くありません。このパラドクスは?
【答】ロシアやアルゼンチンの危機時もそうだったようだ。98年のロシア危機が起きる
まで、市民は普通の生活のままで、まさかこれほどの大危機になるとは思っていなかっ
た。アルゼンチンの場合も、当時、財務省の役人が現地へ視察に行ったが、国民は普通
に生活していた。危機に見えないのは当時も今も同じだ。

【問】ロシア等と違い日本は預貯金豊富で国債もほとんど国内で消化されていますが。
【答】このままの状態を続ければ日本は破綻しかねない。少子高齢化で経済全体に活力
がなくなってしまう。人的能力も競争力も国際的に確実に落ちる。歴史を見れば、エジ
プト、ギリシャ、ローマ、スペインなどが時代の覇権を握った。今は米国が強い。日本
も強かった。しかし、こうした過去の歴史を見れば、アジアの中で日本がこれからも高
い成長国でいられると言えるだろうか。
では、今の時代を歴史的に見るとどうか。一つの最悪のシナリオを言えば、20年、30
年後から今を見ると、「1950年代から2000年までアジアの中で随分成長した国があった。
それは日本だった」「やはり日本の繁栄はテンポラリーなものに過ぎなかった」と懐古する
。そうした時代となってしまう可能性がある。これを回避するには、国民一人一人の生
産性の向上、金融・サービス業の国際競争力強化を目指すことが必要だ。

(聞き手はQUICK情報本部 岡村健一)

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