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円安で物価が上昇するとは限らない 投稿者 あっしら 日時 2002 年 10 月 29 日 23:57:05:

(回答先: Re: 需要不足の原因は何か 投稿者 スーパー銭湯 日時 2002 年 10 月 29 日 22:24:34)

スーパー銭湯さん、レスありがとうございます。


>原因は、「インフレ期待」がなければ土地投機や株式凍死はしな
>いという点です。結局、債券を買うのが一番となる。

地価や株価というストック価格の下落については、国民経済にとってそれほど重要なものだとは考えていません。

そして、これこそ国民経済というフローがおかしくなった結果であり、国民経済を回復させない限り、上昇に転じるのは難しいと思っています。


>インフレ期待は、では、どうすれば起きるか。
>簡単です。「円安」になること。
>輸入物価の上昇、輸出産業の競争力回復、国内の競争力のない
>分野も一息つきます。

円安はインフレ期待を生じさせるとは思いますが、実際にインフレをもたらすかについては疑問に思っています。

円安がインフレに期待に結びつくのは輸入財の価格が上昇するからだと思いますが、それが、最終需要価格にまできちんと反映するためには、それにふさわしい可処分所得の増加がなければなりません。

まず、輸出する財も生産している企業は、輸出手取り円額が増加するので輸入原材料などの価格上昇を受け入れるはずです。
国内向けの財のみを生産している企業も、仕方がないと受け入れるでしょう。
電力やガスのように為替レートで料金変動を認められている企業は、価格上昇を素直に受け入れるとともに、料金も上げることになるでしょう。


しかし、最終消費財の価格は本当に上昇するでしょうか。
可処分所得が増加しない限り、輸入財の価格上昇の影響を直接・間接で受ける商品の価格がどれもあまねく上昇するということはありません。

食糧などの必需財は価格が上昇しても否応なく買うことになりますが、それによって、他の財に支出するはずの可処分所得が減少することになります。被服関係や家電などの購入は先送りされることになるはずです。
必需財の価格上昇のために需要が減少した財を供給する経済主体は、在庫を減らすために販売価格を下げたり、生産量を減少させることになります。

これは、コストが上昇したのに販売価格は上げられないか逆に下がることになることを意味しますから、そのような財を供給している経済主体は収益を悪化させることになります。


「輸出産業の競争力回復」についても、アジア諸国とのあいだで水平分業が進んでいることから、輸入材の価格が上昇する円安が国際競争力の上昇に結びつくとは即断できません。
原材料を輸入して中間財や生産設備は国産のものを使いながら生産するという時代であれば、輸入材がコストに占める比率は低いのですが、生産財まで輸入している現状では、それほど国際競争力の上昇をもたらさないと見ています。

また、輸入価格の上昇が物価上昇にきちんと反映できるためには給与を引き上げなければならないので、物価上昇と国際競争力上昇の両方が満たされることはないと考えています。

円安で「国内の競争力のない分野も一息」というのは、前述のようにコストが上昇したのに販売価格に転化できないという事態が予測されるので考えにくいものです。


>海外投資の受取利息も増え為替差益もでます。

これはその通りです。

しかし、現状でも年間10兆円を超える経常収支の黒字を計上しています。
5兆円は対外投資で流出しているとしても、年間5兆円も通貨が増加していることになります。
そうであってもデフレが進行しているのは、国際取引で稼いだお金が使われないまましまい込まれているからです。(預金などのかたちですが...)

確かにある部分の経済主体の利益は増加しますが、だからと言って、それが経済活動に投入されるわけではありません。
経済活動に投入されなければ、「デフレ不況」の緩和に貢献することもありません。

>本来、デフレで、金利が低いなら円安になるはず。
>なぜ、ならないか。

金利の高低が為替レートに影響を与えるのは、基本的に、債券投資に関わる国際的な通貨移動に関してのみです。

財の国際取引(貿易)について言うなら、米国よりもデフレであれば、円高になるのが経済論理です。


>通貨の価値(為替相場)を自国ではなく他国に決定され、
>いま、金融自由化で、「日本の昭和40年証券恐慌後、資本の自由化で外国資本から
>免れるための株の持ち合い構造」の破壊をやらされている。

>そのことが、デフレの真の原因だと考えています。

中国や韓国の為替レートをとりあえず脇に置き、日米間の貿易に関して考えれば、円ドル為替レートは円安だと考えています。

株式の持ち合い解消が株価下落圧力の大きな要因だと考えていますが、それが「デフレの真の要因」だとは考えていません。

「デフレの真の要因」は、経済活動とりわけ供給活動に使われない通貨の増加であり、それを財政支出で補えない財政状況にあることだ思っています。


>昭和恐慌時代の世界不況時、先進各国で通貨の切り下げ競争が
>起こりました。デフレが蔓延するとどこも同じ事を考える。

金本位制ではなく、帝国主義的ブロック経済ではなく世界的な水平分業が進んでいるので、通貨の切り下げ競争が起きることはないと予測しています。

デフレが蔓延すると、欧米では地域ブロック経済というかたちの保護主義が一気に強まると考えています。

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