現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
強引な不良債権処理策を進める竹中平蔵金融・経済担当相と、大手銀行の泥沼バトルと化した25日夜の会合第2ラウンド。妥協点が見いだせないまま会談終了後、大手7行首脳が竹中案を「自由主義の根幹を揺るがすもの」などと恫喝する共同声明を発表。全面衝突は異例の展開を見せ、溝はますます深まった。
声明では、銀行の支払った税金が将来戻ることを見込んだ「繰り延べ税金資産」の繰り入れ上限を自己資本の10%までとする竹中案を容認できないと強調。「突然のルール変更は深刻な信用縮小を引き起こす」と改めて警告した。
この規制を導入すれば、大手行の自己資本比率が国際業務を行う健全基準の8%を割り込み、公的資金の注入で銀行の国有化が進むのは確実。そうなれば経営陣の一新→外国人頭取の誕生、と日本の銀行は身売り同然だ。
また、竹中案で資産査定の強化のために導入をうたっている米国流の「割引現在価値(ディスカウント・キャッシュ・フロー)方式」や、優良債権と不良債権の勘定を2つに分ける方法なども、「自己資本を弱体化させ、不良債権処理に逆行する」と厳しく批判した。
会合では銀行側のこうした指摘に、「こちらが質問しても金融相からの応答は一切なかった」(勝田泰久・大和銀行頭取)と不満が爆発。怒りが収まらないまま、終了後、会見を開いて公然と反旗を翻した。
「繰り延べ税金資産の算入制限は、最も問題視している。もし米国と同じ基準にするなら、税制も同様に過去の有税償却分は還付し、新たな処理には無税償却を認めるべきだ」(三木繁光・東京三菱銀行頭取)と一向に歩み寄りを見せない竹中氏に妥協を迫った。
また、「自己資本を無理やり小さくして公的資金注入を何が何でもやろうと、自己目的化している。許せない。行政命令で代表取締役の責任を問おうとするのもおかしな話だ」(三井住友銀行・西川善文頭取)と銀行の国有化を危惧。
これ以上の強引さで竹中案が実施されれば、貸し渋り・貸し剥がしが起きることは避けられず、「それでもいいのか」と自らのクビを賭けて最後通告を突きつける格好だ。
「一連の流れは、日本が法治国家かどうかが問われている。新たなルールによる経営責任はとても考えられない」(高橋温住友信託銀行社長)など“反竹中”の怨嗟は、しだいにヒートアップ。ふだんは生き残りを賭け、しのぎを削るライバル同士のトップが強い結束を見せた。
竹中氏は会合後、記者団に「基本的な論点についてどこかで折り合いをつけながらクリアしなければならない」としぼり出すのが精いっぱい。
金融界から総スカンの税効果会計の厳格化については原案を見直す意向を固めているが、不良債権処理加速に向けた資産査定の強化や資本不足に陥った銀行への公的資金の活用方針は譲らない構えだ。
このため、竹中氏と大手行トップは28日午前にも再協議して“第3ラウンド”を行う。
与党内にも銀行の貸し渋りなどを心配し、竹中案を「銀行や企業をつぶす殺し屋的な行為」といぶかる声が大勢だが、「銀行もリストラを一層進める必要がある」と同情はない。待ったなしのデフレ不況地獄のなか、大揺れに揺れる竹中案は予定通り30日発表に漕ぎ着けられるのか。