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【ニューヨーク=豊福浩】米国の銀行やノンバンクで大口融資の焦げ付きが増えている。米金融当局の二〇〇二年大口融資調査によると、不良債権となる恐れがある融資を含めた広義の不良債権は二千三百六十一億ドルと前年に比べ二二%増えた。不良債権の増加ピッチは鈍っているものの、処理負担が依然として経営の重しになっている姿が浮き彫りになった。
「シェアド・ナショナル・クレジット(SNC)」と呼ばれるこの調査は、米連邦準備理事会(FRB)、米連邦預金保険公社(FDIC)、米通貨監督庁(OCC)が春先に共同で実施。米銀や外銀、ノンバンクなど最低三つの金融機関がコミットメントライン(融資枠)を含め合計で二千万ドル以上融資をしている貸出債権が対象になる。金融当局はその結果をこのほど公表した。
金融当局が回収に問題があると判断した分類債権の総額は千五百七十一億ドルと前年調査比三三%増加。ただ、増加ペースは二〇〇一年調査の八五・五%増から大幅に鈍化した。分類債権には属さないが、後に不良債権化する恐れがある問題債権(スペシャル・メンション債権)は七百九十億ドル。分類債権に問題債権を加えたものが広義の不良債権とされている。
広義の不良債権が五年連続で拡大する一方、融資残高は十年ぶりに縮小した。米景気減速で、金融機関が融資姿勢を厳しくしているためだ。この結果、融資に占める不良債権の比率は一二・六%と前の年から三・二%上昇。不良債権処理負担が重いため金融機関が貸し渋りに走り、米景気の回復を遅らせた九一年(一六・〇%)や九二年(一五・四%)の不良債権比率に近づきつつある。
FDICのパウエル総裁はこの調査結果を踏まえ、「不良債権の増加傾向には歯止めがかかっていない。増加ペースこそ鈍っているが、企業収益が改善し、膨れ上がった企業債務が減らない限り、不良債権の大幅な減少は期待できない」との談話を発表した。
SNCでは金融当局が協調融資の主幹事を務める金融機関などに調査に入り、貸出債権を分類する。例えば主幹事の資料などを基に取引先のA社を破たん懸念先と認定すれば、この協調融資に名を連ねる他の銀行なども同じ分類基準に合わせなければならない。資産査定が甘ければ貸倒引当金の積み増しが必要。この定期的な検査があることから、日本のように大手のゼネコンや流通など大口融資先に対する債権の分類が銀行間で異なる事態は起こりにくい仕組みになっている。