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３０日の内閣改造では大半の閣僚が留任する見通しだ。固まった新入閣は参院自民党の鴻池祥肇国対委員長だけ。「ハッとする人が出てくる」（山崎拓幹事長）展開も予想されるが、焦点の柳沢伯夫金融担当相が代わったとしても、多くて３人程度の差し替えに終わる公算だ。期待外れの与党からは「これが改造か」と恨み節が漏れる。ガス抜きに官邸が打ち出したのは、副大臣・政務官の大幅入れ替え。小泉俊一郎首相は１月にも同じ手で与党の改造圧力をかわした。「一内閣一閣僚」が看板の小泉内閣では、改造とはまるで副大臣交代を意味するかのようだ。

　「１人でも改造は改造。全員の辞表は取りまとめるんだから。でも、やっぱり入れ替えかな」

　小規模改造が決した２７日、首相周辺から伝わった解説に、与党幹部らは落胆を隠さなかった。

　「大幅、小幅どころか極小だ。どこの派閥も諦めている。言ったって始まらないから。首相１人で組閣本部と言うのかね」（参院自民党幹部）

　「もう全員留任させたらいいのに。１人２人だけ辞めさせるんじゃ、かわいそうじゃないか」（自民党堀内派幹部）

　自民党江藤・亀井派は同日昼、江藤隆美会長の呼びかけで幹部らが事務所に集まったが、亀井静香前政調会長らは「意味ないよ」とぶつぶつ。だが、今や派閥の存在意義はポスト配分しかないのに、閣僚人事がまたも見送られれば、今度こそ空中分解しかねない。

　小泉首相は同日、党総務会で３役を指名後、山崎氏に「日曜日まで誰とも会わない」と、猟官運動禁止を申し渡した。

　党内に顔向けできない山崎氏は「副大臣・政務官、衆参の委員長は全員替える」との方針を各派に通達し、推薦の取りまとめを依頼した。

　森派では早速、当選４回議員からポストの希望を聴いたが、各派には「派閥は副大臣の推薦窓口か」と、無力感ばかりが広がっている。

　一方、与党を押しきった小泉首相にも弱みがある。「１人２人の差し替えのために、なぜ全閣僚に辞表を出させ、天皇の認証式をやり直すのか」と、改造そのものへの疑問が出ているためだ。

　「構造改革を進める新体制を構築する」として、改造内閣が取り組む政策の基本方針を示したが、内容に新味はなく、取って付けたアリバイ作りの印象が濃い。

　内閣総務官室の見解も「改造の定義はない。何人替わろうと、首相が改造だと言えば改造になる」とあやふやだ。

　「意外な新入閣がある」との観測も、「新入閣が参院枠１人増では格好つかない。得意の話題作りを狙うはず」という読みから出ている。結局は形ばかりの改造をとりつくろう窮余の策にすぎず、「大義なき改造」の実態は変わらない。　【伊藤智永】

［毎日新聞９月２９日］

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