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(回答先: 日銀“大英断”の株買い取り〜金融庁の専管領域に踏み込む〔株ZAKZAK2002/9/19〕 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 9 月 19 日 16:32:53)
大英断か、大暴走か−。日銀が10月から銀行の保有株を直接買い取る方針を打ち出して一夜明けたが、波紋は収まらない。先進国では例のない邪道ともいえる手法だが、金融システムに対する危機意識を評価する声に対し、「結局は国民負担による株価対策と大銀行救済に過ぎない」との見方も強まる。文字通り大バクチに打って出た日銀に頭越しにされ面白くないのが金融庁。「銀行の経営は健全」との甘い認識を全否定された柳沢伯夫金融担当相に対し、銀行国有化や不良債権処理加速へのプレッシャーが一段と高まる。
「やるべき選択肢があるのに、いきなり変化球を投げてきた。unusual(異常、珍しい)な政策だ」。経済学者出身の竹中平蔵経済財政担当相さえ首をひねるほどのとんでもない奇策。
日銀の速水優総裁は「株価の下落が金融システムの信認回復の妨げになっている」として、銀行の保有株を買い取ると述べた。
買い取り対象となるのは、自己資本を上回る株式を保有する大手銀行11行と地方銀行4行で、現時点の株価で評価すると買い取り額は4兆円規模。今年10月から1、2年かけて銀行から直接時価で株式を買い取り、最長で10年程度保有するとしている。
これまで日銀は、与党などから要求のあったインフレ・ターゲティングやETF(株価指数連動型上場投資信託)の買い取りなどのデフレ脱却策について「中央銀行の財務の健全性が損なわれる」とかたくなに否定してきた。それが、180度どころか、「まるで極右から極左に転向したような」(エコノミスト)政策転換の最大の要因は、株安により銀行の経営が危機的状況に追い詰められていることだ。
金融機関は平成16年9月中間決算から、中核的な自己資本を超えた株式を保有できなくなる。銀行は保有株の解消売りを進めたいのだが、これが市場全体に売り圧力を強めて株価を下落させるため、売るに売れない状態に陥っていた。
今年3月末に1万1000円台だった平均株価が一時、9000円を割り込み、評価損は大手行で4兆円を上回るなど、9月中間決算にも大きな影響が懸念されていた。
銀行の持ち合い株解消については「銀行等保有株式取得機構」という組織もあるのだが、銀行が株売却額の8%相当を収める必要があるなど銀行への負担が大きく、ほとんど利用されていない。
日銀が時価で買い取るため、銀行の損失は避けられないものの、市場を介さず直接購入することで、株価を押し下げずにすむうえ、銀行にとっては、株価に一喜一憂する必要がなくなり、不良債権処理など経営計画を立てやすくなるという利点があるわけだ。
それでも大きな不安が残る。まず、どんな株を、いつ売るのか−。経営の不安な企業の株式を日銀が保有してしまった場合、「果たして10年後まで会社が存在するのか」という懸念もある。
また、日銀は株式購入の際に準備金を計上する必要があるが、購入した株の株価が下落すれば、国庫への納付金が減り、国民負担が発生するのだ。
最大の疑問はなぜ大銀行だけを特別に救済する必然性があるのか、という問題だ。不良債権を膨らませたうえ、中小企業に貸し渋りや貸し剥がしを続け、自らは依然高給を取り続けているだけに釈然としない。
保有株を売却した資金が貸し出しに回れば景気にも良い影響を与えるのだが、「結局は国債を買うだけではないか」(金融担当アナリスト)との見方も出ている。
速水総裁はこれまで銀行への公的資金注入を訴えてきたが、受け入れられなかった。「来年3月の任期切れを控えて焦りがあったのでは」(金融関係者)との指摘もある。
一方、ボールを投げられた柳沢金融担当相は、「ありがたいこと」と言葉では歓迎したが、今度は金融庁サイドが公的資金注入や不良債権処理の一段の加速を進めないと市場の批判を浴びることも予想される。「今は危機ではない」と空念仏を唱え続けてきた柳沢金融担当相も追い詰められている。