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「民間(銀行)の株を持っている中央銀行はないと思う。銀行の保有している株式が自己資本に響き、リスクが大きくなっている。その不安をなくすために、日本銀行も安定化対策を準備しておいた方がいいと考えた」
速水優日銀総裁は、昨日(18日)の記者会見で、こう断言した。
日銀は、政策委員会会合において、大手銀行などが保有している株式を日銀が直接買い取るという方針を決めた。
その目的について速水総裁は、「株価の下落が金融システムの信認回復の妨げになっている。その不安を無くすため」と説明している。
もう少しかみ砕いて説明するならば、「株価の下落によって、いよいよ金融危機に陥りかねない状況になってきた。株式直接買い取りはそうした“危機”を回避するため」に他ならない。
日銀が買い取り対象とする銀行は、大手銀行11行、大手地銀4行の合計15行となる見込み。また対象となる株式は、各行が現在保有する株式のうち、自己資本部分を上回る部分としている。
「そもそも各金融機関に対しては、2004年9月期中間決算から自己資本−正確には中核的な自己資本(ティアエ)−を越えて株式を保有してはならない、というルールが導入される予定になっているのです。もっとも自己資本を越えて株式を保有しているのは、大手銀行15行に限定されますが、こうした銀行はトータルで8兆円程度の余剰株式を抱えているものとみられます」(大手都銀役員)
もっとも、この“8兆円”という数字は、今年3月末時点のもので、現在は各銀行が売却を進めたり、株価の下落等もあって、4兆−5兆円規模に余剰株式は圧縮されてきているのが実情。
とはいえ、「大手銀行による保有株式売却の動きが、いわゆる“売り圧力”となって株価を押し下げることになっていることは間違いない」(大手証券会社役員)
筆者は昨日(18日付け)の当コラムで、「大手金融機関にとって、日経平均株価8200円は、“絶対防衛ライン”。これを割り込むと、金融危機は再燃する」と指摘させていただいた。
「“日経平均株価8200円”が正しいかどうかは別として、株価下落が金融システム不安を呼び込むという認識については、須田さんと同様に日銀も持っている。だからこそ速水総裁は、これまで公的資金再注入を強く主張してきたのですが、金融庁はこれを無視してきた」(日銀幹部)
それゆえ日銀は単独で、前述したような“救済策”の実行に踏み切ったと言っていいだろう。
恐らく今後、「形を変えた公的資金投入」という批判は出てくると思うが、筆者としてはこうした日銀の“英断”に大きなエールを送りたい。
「しかし今回の日銀の決断は、個別銀行の経営問題に日銀が直接かかわっていくことを意味する。そもそもこの部分は金融庁の専管領域。今後金融庁とのあつれきが心配だ」(大手都銀幹部)
日銀にはぜひとも頑張っていただきたい。