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日本銀行は18日に行なわれた政策委員会・金融政策決定会合でこれまでの方針を大き転じ、不良債権問題の克服と金融システムの安定に向けて金融機関が保有する株式を直接買い取る方針を決めた。
日銀の山口企画室審議役は12日に行なわれた参議院決算委員会の席上では「日銀法では、日銀がオペにより買い入れることができる資産は、手形あるいは債券に限定されており、日銀がETFを買い入れることは想定されていないと理解している」と発言しており、今日発表された日銀による株式直接購入はこれまでの日銀の基本方針に大きな変化が生じたものと考えることができる。
元々、山口企画室審議役がETF購入は困難とした根拠は日銀法33条にある。
日銀法33条では金融調節の手段として「商業手形その他の手形の割引」など8項目の金融調節業務を行なうことを定めているが、これらの金融調節業務のなかには株式の購入は含まれていないからだ。また同43条では「日本銀行は、この法律の規定により日本銀行の業務とされた業務以外の業務を行ってはならない」とまで規定している。
いわば、日銀による株式直接購入は日銀法違反ぎりぎりの禁じ手となる。
同43条では「この法律に規定する日本銀行の目的達成上必要がある場合において、財務大臣及び内閣総理大臣の認可を受けたときは、この限りでない」と規定しており、日銀の株式直接購入の道が現行の日銀法で完全に絶たれていた訳ではない。
ただし、今回、同43条で規定されている例外条項を利用してまで、当初の日銀法で想定していなかった株式の直接購入に乗り出さざるを得なかったことは一般的手段による金融政策が完全に機能しなくなった日銀の苦境を如実に表すところともなっている。
今回の決定に関しては日銀は金融システムの安定を確保することが狙いとしている。しかし、市場では金融機関の含み損を日銀に移転するだけといった見方もあり中長期的には金融システムの安定どころか株式含み損という大きな不安定要因を国家金融の中枢に抱え込むことともなりそうだ(解説:今 裕介)。