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レス1:今次のデフレ要因は資本活動にも金融取引にも使われない“余剰通貨”の増加 投稿者 あっしら 日時 2002 年 9 月 18 日 15:43:26:

(回答先: デフレ、構造改革など>あっしらさん 投稿者 たにん 日時 2002 年 9 月 18 日 02:18:32)

たにんさん、こんにちわ。

項目別にレスします。


>では90年代以降のデフレ/不況(持続的な物価下落/企業収益の悪化、倒産、失業
>増)の発生原因とは一体何でしょうか?

「改革コーラン」が言うデフレの要因は、次の三つです。

@安い輸入品の増大などの供給面の構造要因
A景気の弱さからくる需要要因
B銀行の金融仲介機能低下による金融要因

「安い輸入品の増大」は、デフレ気味不況やデフレ不況が促進した経済事象です。
メーカーも流通業者も、できるだけ財を高値で売り、売上&利益を大きくしたいと考えています。しかし、デフレのなかで財の価格が下落する傾向にあれば、これまでの価格でさえ見向きされなくなります。財の価格を下げても、利益は従来の額を維持したいと考えれば、コストがより低い外国で製造し輸入することになります。
「安い輸入品の増大」が、デフレ・スパイラルの一つの大きな要因であることは認めていますし、従来から、日本企業がそれを取り仕切っているのだから抑制すべきとも主張しています。

「景気の弱さからくる需要要因」も、因果関係が逆転しています。
インフレのなかでも供給に対して需要が減少することで景気が弱くなったことは何度も経験しており、今次のような物価が下落するほどの景気の落ち込みがどうして起きたかが問われなければなりません。

「銀行の金融仲介機能低下」は、ある程度の説明にはなりますが、なぜそうなったのかが問われなければなりません。


デフレの要因は、抽象的に言えば、資本活動にも金融取引にも使われないという“余剰通貨”の大幅な増加です。

バブルが崩壊する直前の89年まで、資本活動に使われない“余剰通貨”は、内外の株式や土地(不動産)に向けて投資(投機)されていました。そして、株式や不動産の所有者は、それらを売却して利益を得るかたちで通貨を手に入れ、それを消費や投資にも使っていたわけです。(金融取引がいわゆる実体経済にも好影響を与えていたのです)

「バブル崩壊」は、金融取引には使われていた“余剰通貨”を一気に縮小させ、全体としての“余剰通貨”を一気に増加することになりました。

前半部分のデフレ気味不況の直接的契機は「バブル崩壊」です。

「バブル崩壊」は、借り入れた通貨を使って取得した金融財(土地や株式)をより高値で売却して借り入れ利息を支払って上で大きな利益を得ようとした経済活動に、その思惑は夢であったと現実が告知したものです。

バブル的経済取引に借り入れではない通貨が使われていたのであれば、夢破れた経済主体(人)が大損を被るだけで、通貨的富が移転したという話で済みます。

バブル的経済取引の原資として多くの借り入れ通貨が使われていたことで、「バブル崩壊」が返済不能債務問題=不良債権問題となりました。それは、銀行の貸し出し原資が、ほとんど預金によって賄われているからです。
銀行は、150兆円とも言われるバブル的取引向けに貸し出した通貨が、利息はおろか、元本の一部まで返済されないという事態に直面し、おののくばかりで身動きできない状態に陥りました。(担保権を行使してもそうだということです)

80年代後半のバブル形成時期のいわゆる“資産効果”は92年くらいまで続き、それが、実体経済を支えていました。

90年代前半の経済政策は、高度成長期的というか戦後経済的な経済観で、土地や株式はまた上昇に転じるはずだ、上昇に転じて欲しいという淡い期待と願望で覆われていました。
そのために、資産価格の下落を下支えするための財政出動や“PKO”を行ってなんとかしようとしました。

そして、商売柄不動産投機に絡んだゼネコンひいてはそれらに貸し出しを行っている銀行が破綻しないように、公共事業の積み上げを行いました。

90年代前半のこのような資産価格維持政策やゼネコン(銀行)救済策が、98年からの本格的デフレ不況の下準備になってしまいました。

資産価格維持政策やゼネコン(銀行)救済策に130兆円超の赤字財政支出を行ったことで二進も三進も行かない財政危機状態を招来し、97年には、消費税率5%・社会保険料&自己負担増加という低中所得者負担増政策を実施させることになりました。

97年の「低中所得者負担増政策」は、存在している厖大な“余剰通貨”を吸い上げずに、厖大な“余剰通貨”を原資として赤字国債を発行することで経済苦境を脱出しようとした政策のツケを、低中所得者に回したものです。

これが、北拓銀行や山一証券の破綻として現れた金融危機を軌を一にして決定されたために、可処分所得の減少という直接的な需要減だけではなく、心理的な要因にも基づく、供給>需要のギャップを拡大しました。

これ以降、デフレがさらなるデフレを誘発するというデフレ・スパイラルに陥りました。

政府は、「“余剰通貨”は国債を通じた借り入れではなく税として徴収しなければならないこと」・「資産価格はフローの拡大でのみ上昇が維持できること」・「供給力>供給>需要というギャップの縮小は供給>需要レベルのギャップ縮小からのみ可能である」ことを理解しないまま、公的資金で資産価格を下支えしようとし、投資(供給)を増加させるためと称して高額所得者減税を実行するという愚策を続けたわけです。


デフレが続く要因は、供給>需要のギャップ拡大傾向です。

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