現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
年金など巨額の「特別会計」が民間の経済再生を妨げている
ここへきて小泉首相は「国債発行は30兆円の枠」にとらわれないとか、歳出を削減して減税を先行させるとか、「一内閣一閣僚の原則」にとらわれず内閣改造に前向きになるとか、スタンスを変えはじめた。もともと首相の言う改革政策は、格別、理論的な整合性があったわけではない。いわば機知と逆説の警句の羅列が多かった。
その小泉改革の矮小化が議論されている中、自民党の堀内光雄総務会長が文芸春秋8月号で「年金保険料30兆円を廃止せよ」と題する論文を掲載した。サブタイトルは「年金・簡保など隠れた税金『特別会計』の欺瞞」とあり、説得力のある内容。堀内氏は、〈構造改革という言葉で打ち出される現在の施策は、国民負担が増えるばかりで経済を萎縮させてしまう。国民の懐が潤わずに国家経済の繁栄はあり得ない〉として、次のように言う。
〈首相の構造改革は80兆円の一般会計の中身ばかりに目が向いて、もっと大きな政府の財布にメスが入っていない。単純加算で年間370兆円の特別財政こそ問題で、重複を除いても、一般会計と特別会計の合計額は300兆円になる。GDP(国内総生産)が500兆円、国民所得が380兆円の国で、これだけ巨額の資金を国家が吸い上げたら、民間の設備投資も消費も伸びるはずがない。「日本政府は世界最大の金融機関」であり、この国家への資金集中がこれまで充分に議論されてこなかった〉
給料から天引きで徴収されている年金、雇用保険などは、実は国への強制貯蓄であって、国民にとっては税金と同じ。
「税金であれば政府の需要として支出されるが、年金など強制貯蓄によって集められた巨額資金は、消費支出の可能性を取り上げ、新たな産業育成といったところに回らず、目詰まりして日本経済全体の血のめぐりが悪くなってしまっている」というわけだ。
現在37にも増えた郵貯、年金、自賠責などの特別会計は国会の審議でロクに精査されることもなく、一度設置されると廃止された例はほとんどない。堀内氏は特会の弊害を詳説した上で、まず何百兆円にも上る年金の積み上げをやめて、広く薄く皆で負担する税金による賦課方式に改め年金保険料を廃止する。さらに、特別会計を10年をメドに廃止すべきだと提言している。
「特会にメスを入れよ」の堀内氏の主張は、官僚と自民党族議員のモーレツな抵抗にあうだろう。だが、特会改革は小泉改革の原点だったはずだ。小泉首相がそれをやらないなら、いっそ堀内氏に首相をやらせたらどうだ。