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自営業者らが入る国民年金の保険料を納めない人が増えているため厚生労働省は、悪質な未納者に対し国民年金法に基づき、預金など財産の一部を差し押さえる強制徴収を検討する。未納者が増え続ける事態を放置したままでは制度の信頼性を損なうとの判断からだ。同省は10日の社会保障審議会・年金部会での議論も踏まえ、具体的な方策づくりに入る。
未納者への強制徴収は88年から90年にかけ、9000人前後の長期滞納者を対象に納付を説得し、最後まで応じなかった5人に対し電話債券などを差し押さえた例がある。しかし、資産調査などで事務コストがかかるうえ、「公的年金の信頼性を高めるのが先決だ」との批判が強かったため、その後はずっと「抜かずの宝刀」となってきた。
国民年金は現在、月1万3300円の保険料を払い、40年加入すれば65歳から月6万7000円の年金を受けられる。しかし制度に入らない未加入者は99万人、入っても保険料を払わない未納者は265万人に及ぶ。経済の低迷や年金不信もあり、未納率は95年度の15.5%から00年度は27%へと急増。同省は学生が「出世払い」できる追納制度などの対策を打ち出したが、有効な歯止めにはなっていない。
こうした中で同省が未納者対策の決め手として強制徴収の適用を検討することにしたのは、(1)公的年金は現役世代の保険料をそのまま高齢者に払う「世代間の仕送り」の仕組みで、公平性を保つためにも未納者は放置できない(2)4月から保険料徴収事務が市町村から国に移り、未納者に対して全国一律に手紙や電話で督促が行われ、悪質な未納者を把握しやすくなった、との判断からだ。
同省の調査によると、未納の理由は「保険料が高く経済的に困難」が6割余りを占めているが、未納者の所得分布は納付者とほぼ一致し、高額所得者も含まれている。また、未納者の半分が民間の生命保険に、1割余りが個人年金に加入しており、こうしたことも強制徴収の適用を検討する背景となっている。
同省では新方針が年金部会や与党などの理解を得られれば、具体的な実施方法や時期の検討に入る。今のところ、手紙や電話による督促や年金相談員や職員による説得を進め、強制徴収は特に悪質な場合に限り適用することになりそうだ。所得が高く、徴収が将来、本人の年金支給につながる若い層に対象を絞り込むことなどが検討されている。
日本は欧米先進国と違い、全国民が年金に加入する皆年金を採用している。自営業者や農民も自分で保険料を払い国民年金を受け取る。しかし、自営業者はサラリーマンのように保険料を給料から天引きする仕組みでないため未加入や未払いは避けることができず、特に最近は年金財政が悪化して、公平性を著しく欠くようになった。
(08:52)
http://www.asahi.com/politics/update/0907/002.html