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再反論 投稿者 匿名希望 日時 2002 年 8 月 31 日 05:21:48:

(回答先: 「補助金と減税の違い」&「政治的受け皿問題」 投稿者 あっしら 日時 2002 年 8 月 30 日 17:58:53)

具体的な例を挙げながらのご説明有難うございました。数字があると確かに閲覧者諸氏にも議論の流れが見えやすいかも知れませんね。

補助金として渡す形であれ、法人税体系を絡めての戻し税方式であれ、本格的な景気浮揚には結びつかない事を貴殿の例に基づきながら示したいと思います。

>単純な循環で考えると、“儲け”は6千万円−4千万円=2千万円と減少しますが、このアイデアと恒久的「低中所得者減税」による需要拡大を合わせて10兆円超と考えれば、それにより、いくつかの前期赤字企業が今期黒字に転換します。

残念ながら、最初の前提からして既にこのアイデアは破綻しています。利益が二千万円減少することが分かっている人件費増を無条件に認める経営者が現実に存在するでしょうか。私企業は慈善団体でも従業員の生活共同組合でもありません。極端なケースではこのような意思決定を行う経営者は株主から訴追されるでしょう。給与や賃金の増加を認めるのは、その額と少なくとも同等、一般的にはそれ以上の利益増が前提となることは自明です。即ち、貴殿は経済主体(経営者層)に「経済論理」を分からせるための「教育的配慮」から法人税体系を絡ませると仰りながら、その実、経営者らが「経済論理」を分かった上でそれに基づいた行動を取ることを前提にしておられるわけです。

次に、この「賃金上昇推進減税」と「低中所得層減税」の結果、10兆円消費が増加することを前提しておられますが、このために必要な減税額は幾らになるでしょうか。富裕層対象の減税ではありませんから、限界貯蓄性向は80%とか90%のように極端に高いことはないでしょうが、今でも何とか生活ができている層が臨時収入であるこの減税を気前良く使うとも思えません。その臨時収入が財政赤字によって作り出されたことを知っており、将来の制度に対する不安を抱えたままならなおさらです。

>アイデアは、他の課税内容との調整をはかって恒久的なものにしてもいいと思っています。
仮にトータルの減税規模が15兆円とすると、これを恒久化させ、維持可能とするためには小さな税収項目をちょこまかいじっても効果がありません。所得税と同様に大きな項目である、法人税か消費税を同額引き上げる以外にバランスさせる方法はありません。そうすると、消費税率が現行の5倍とか、法人税率が2倍とかの非現実的な世界になりますね。とても微温的政策とは呼べなくなります。つまり、最初からバランスさせることなど不可能なのです。わずかGDPの2%消費喚起10兆円vs.500兆円)にすらこれだけのコストがかかるのです。

>人件費の増額による「供給増加」のみが現段階での「需要増加」であるという認識を経済主体が持たない限り、日本経済の将来はありません。

理論的にはその通りですが、上述のように法人税戻しのインセンティブがうまく働かないとすると、賃金統制令(賃金抑制でなく逆に一定比率増加を強制する)でも施行するしかなくなります。これは、消費が足りないからと言って、国民に強制的に消費をさせるのと同じくらい無理のある政策だと思います。

>心ある官僚と心ある政治家が組んで、少しずつでも経済価値観や経済政策を軌道修正していかなければならない段階に既にあります。
>他の選択肢を知らないだけなのですから、このような動きを国民が知れば必ずや流れが変わる状況にはあります。

大型減税とその恒久化が画餅であるのは上述の通りです。低中所得層への税負担の軽減も効果があるのは、全面的改革を行った後、国民各層が今後の見通しを持てるようになってのことです。

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