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「決済性預金の保護を目的とする“新型預金”の導入を巡る議論がここへ来て迷走につぐ迷走を重ねている。今のままでは、金融行政そのものが国民の信を一挙に失うことになりかねない状況にある。金融庁としてはここは一度すべてを白紙撤回し、“名誉ある撤退”を選択すべきではないか−」
金融庁幹部がこう言ってみせる。
ここで言う“名誉ある撤退”とは、来年4月1日に予定される“ペイオフ全面解禁”の延期を意味する。
そして金融庁内部では、中堅幹部級を中心に、この“名誉ある撤退”論がここへ来て急速に台頭してきているのが実情だ。
昨日(8月28日)、決済性預金の保護策を協議する、金融審議会の作業部会が開かれた。
この日の作業部会では、“新型預金”の導入については金融機関サイドの自主判断に任せる、ということで一致をみた。
この決定を受ける形で、金融庁は、これまで模索していた“新型預金”の導入義務化を見合わせる方針を固めたのである。
「金融審議会では、“新型預金”の導入を全金融機関に対して一律に義務付けるためには何らかの法的措置が必要だが、法律を作ること自体が難しい、と判断したのです。しかしこうなると、“新型預金”を扱わない金融機関が出てくることは必至です。そうなればまたぞろ、『“新型預金”を扱う金融機関は危ない−』という見方が出てきかねないでしょう」(前述の金融庁幹部)
話は前後するが、これまで述べてきた“新型預金”とは、金利をゼロとする代わりに預け入れ金の全額を保護するという預金商品のことを指す。
「しかも、“新型預金”については預金者サイドから口座管理手数料を取ることまで検討されているのです。仮にそうした手数料を徴収してしまったならば、まさに“マイナス金利”となるのです。そんな預金商品が強制的に導入されたならば、預金者から猛烈な反発が出てくることは間違いない」(大手都銀幹部)
こうした状況から考えて、現時点において“新型預金”構想については事実上、空中分解してしまった、と見ていいだろう。
「だからこそ、“名誉ある撤退”を図るべきなのです。今のままいたずらに議論を重ねていったとしても、実のある結果は出てきません。また時間的にも間に合わないでしょう。ここはいったん撤収し、改めて“決済システムの保護”について協議すべきです。つまり、“ペイオフ完全解禁”は延期すべきなのです」(前出の金融庁幹部)
こうした“主張”が金融庁内部から出てきたことは極めて興味深いといえよう。
別の金融庁幹部が言う。
「しかし、“ペイオフ完全解禁”の延期については、小泉純一郎首相が絶対に首をタテに振らないでしょう。そして“ペイオフ完全解禁”を延期した場合、柳沢伯夫金融担当相はもちろん、高木祥吉金融庁長官の更迭も免れないでしょう。果たして金融庁上層部にそれだけの覚悟があるのかどうか、この問題の決着はその一点にかかっていると言ってもいいでしょう」
いずれにしても、“ペイオフ完全解禁”については延期せざるを得ない状況になってきたと見るべきだろう。
果たして金融庁がそのことを、いつ、どの様な形で決断するのか、今後はその点に注目すべきだろう。
2002/8/29