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「ソフトバンク及び孫正義社長に対しては今後厳しい見方をしていかざるを得ない。当然、報道のスタンスもそうした対応をとることになるだろう」
大手日刊紙の経済部幹部がこう断言してみせる。
「これまでソフトバンク関連の報道について言えば、同社の発表を、あるいは孫社長の発言をそのままストレートに紙面に反映しているケースが多かった、と言っていいだろう。逆に言えば、一連の発表や発言について“検証作業”が十分でなかったとも言える。その結果、読者をミスリードしてしまったことも否めない。その点は大いに反省すべきだろう」（前述の経済部幹部）
米店頭株式市場（ナスダック）を運営する“ナスダック・ストック・マーケット”が、日本から撤退することを正式に決定したことをきっかけに、マスコミサイドがまさに一斉に孫社長に対して批判的なスタンスをとるようになってきた。
先週に引き続き、今週に入ってもいくつかの週刊誌が、孫社長を批判する記事を大きく掲載する予定となっている。
「いよいよマスコミサイドから“孫バッシング”が始まる気配は濃厚だ。孫社長はこれまで、マスコミ業界を全面的に味方につけることで、成功を収めてきた。今後は、マスコミサイドが一転して“反孫”の一色になることは確実。ソフトバンクグループとしては、非常に厳しい局面を迎える」（大手週刊誌幹部）
大手証券会社幹部が言う。
「ここへ来て、ネット証券経由でのソフトバンク株の売りが目立ってきている。結論から先に言えば、個人投資家がソフトバンク株に見切りをつけた、ということなのだろう。そもそもこれまでソフトバンクの株価を支えてきたのは、いわゆる“セミプロ”と称される個人投資家たちなのです。こうした個人投資家は、インターネットを利用して株式売買を行うケースが多いのが実情だ。つまりネット証券経由での売りが膨らんでいるということは、そうした投資家がソフトバンク株離れを起こしている、とみるべきだろう」
“ナスダック・ジャパン”の清算報道が一斉に流れた８月１５日前後には、ソフトバンクの株価は一時１２００円台割れをするまでに売り込まれていたのが実情だ。
その後株価は、１２５０円台まで戻しつつあるが、
「その出来高が目立って大きく、その株価については今後も一進一退の攻防が続いていくと思われる。とはいっても、今後ソフトバンクグループに関する何らかのネガティブな情報、報道が出てくるようであれば、株価は一気に下落する可能性が高い」（前述の大手証券会社幹部）
これまで、“孫マジック”を支えてきた要因は３つある。まず“孫応援団”とも言える財界人達だ。そして２番目に、好意的な報道に終始してくれたマスコミ、３番目は高株価を演出してくれた個人投資家だ。
「孫社長は、そのいずれをも“敵”に回しつつあるようだ。９月に入って何らかの動きがあると思われるあおぞら銀行問題への対応如何では、一気に“三者”の信頼を失うことにもなりかねない。彼にとってまさに正念場だ」（孫氏と親しい企業トップ）
いずれにしても、一時はインターネット財閥を標榜するなどわが世の春を謳歌した“孫帝国”の落日は近い、と言っていいだろう。

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