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(回答先: 正念場の欧州銀行上半期決算点検(3)収益悪化、ドイツの銀行。 投稿者 hou 日時 2002 年 9 月 12 日 15:52:48)
正念場の欧州銀行上半期決算点検(4)2ケタ減益の仏大手3行(終)
ITバブルの影響大きく
フランスの金融関係者の視線が、今週末にも明らかになるフランステレコムの救済策の行方に集まっている。同社は二〇〇三年中に約百五十億ユーロ(約一兆七千五百七十億円)もの債務の支払期日を迎えるが、その大半が銀行借り入れになるとみられるためだ。
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救済策には、約百億ユーロ相当の新株を発行して政府がその過半数を引き受ける案や、銀行が仏テレコムに対する債権と引き換えに同社の株式を受け取る、いわゆるデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)が浮上している。銀行の財務内容に与える影響は現時点では予測しがたいが、同社の経営危機が仏国内の銀行経営者に誤算だったのは間違いない。
フランスの銀行は欧州内でも比較的、経営状態は良かった。メリルリンチの分析では、一九九四年初めの株価を一〇〇として指数化した場合、仏銀株は二〇〇〇年後半以降、ほぼ二七〇前後で高止まりしている。直近の株価水準は二五〇程度とほぼ英銀株並みに下がったが、一〇〇前後で低迷する独銀株には大差を付けている。
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しかし、最近になって基調の変化がはっきりしてきた。仏三大銀行の一―六月期決算はそろって純利益が前年同期比で二ケタ減という厳しさだった。十二日に決算発表を控えたクレディ・アグリコルも二〇〇二年の目標だった五%増益の達成は「難しい」(同行の財務担当役員)と認める。
苦戦の根底にあるのは景気後退の気配が強まっていることだ。四―六月期の国内総生産(GDP)は前期比〇・五%増にとどまり、二〇〇二年の成長率は一%を下回るとの見方も出ている。代表的な株価指数であるCAC四〇(主要四十社株価指数)は年初来で三割前後も下がっている。九九年から二〇〇〇年にかけて一〇%前後伸びた貸し出しがこれ以上増えるとは考えづらく、逆に貸し倒れ懸念が高まっている。
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マクロ経済の環境変化は各行に共通する減益要因だが、株価でみた市場の評価は「勝ち組」と「負け組」に分かれている。情報技術(IT)バブル崩壊の余波をどの程度受けたかという違いが大きく影響している。
四社問題――。日本では建設・流通など問題企業絡みで「三十社リスト」が以前話題を集めたが、フランスでは仏テレコム、総合メディア企業のビベンディ・ユニバーサル、通信機器・部品大手のアルカテル、仏テレコムの独携帯電話部門モビルコムの四社が、BNPパリバとソシエテ・ジェネラルの経営の根幹を揺さぶっている。
市場が不信感を募らせるのは、両行とも問題の所在を公式には認めようとしないことだ。BNPのペブロー会長は「近い将来も遠い将来も、引き当ての拡充は考えていない」と強調。ソシエテのブトン会長も「ビベンディの資金繰りに問題はないし、仏テレコムは政府が株式の五五%を保有する優良企業」と煙に巻く。
両行とも手をこまぬいて事態を傍観しているわけではない。BNPはビベンディのメシエ前会長が退任した直後に「追加融資の交渉に応じる」と表明。ソシエテも決算で「暫定的な特別引き当て」として千五百万ユーロを計上したことを明らかにした。「問題ない」と言いながら要注意先企業の引き当て額を慌てて積み増す邦銀の対応に似てなくもないが、市場の信認は得られていない。
株式相場全体が下げている中で、株価が一〇%を超えて上昇している「勝ち組」はクレディ・リヨネとクレディ・アグリコル。リヨネは再建途上だが、経費削減とリテール重視という本業回帰が評価されている。アグリコルは政府が保有するリヨネ株の譲渡先の本命。いずれもITバブルとのかかわりが小さかった。
ビベンディ、仏テレコムなど四社の解決の行方はなお鮮明でなく、銀行の財務に与える影響は「潜在的な危機」のレベルだ。四社に対する引き当て積み増しなど貸し倒れリスクに対する備えの拡充が危機回避に向けて急務となろう。
(パリ=奥村茂三郎)
=おわり
【表】仏主要銀行の2002年1―6月期決算
BNPパリバ ソシエテ・ジェネラル クレディ・リヨネ
営業費用等 5,462( 0.4) 5,326( 8.9) 2,366( 0.8)
営業利益 2,460(▲14.6) 1,598( 3.5) 770( ▲4.1)
純利益 2,026(▲15.9) 887(▲32.7) 467(▲13.1)
ROE(%) 16.1 9.8 11.5
(注)単位:百万ユーロ、カッコ内は前年同期比増減率%、▲は減少。ソシエテ・ジェネラルのROEは2002年4―6月期。
日経金融新聞
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