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(回答先: デフレ回避へFRB正念場 日経ビジネス 2002年7月29日 投稿者 ファイナンシャル・ディテクタ 日時 2002 年 8 月 12 日 21:28:53)
デフレがとんでもない経済的災厄だと認識していることは日本の政策当局よりまっとうだと言える、
(日本の統治者も、内心はそう思っているに違いないが...)
しかし、米国当局は、90年以降の日本の金融政策からあまり多くは学んでいないようである。
中央銀行がどんな手段で通貨供給量を増やしても、商業銀行から先への貸し出しが減少し資本化される通貨が減少すれば、デフレ不況に陥るのである。
(余剰通貨を持っている経済主体も、不況下では投資=資本化を増加させない)
>すでにFRBは2002年11月に「名目短期金利がゼロの時の金融政策」という論文の中
>で、ゼロ金利下でマネーサプライを増加させるツールとして、従来の政府短期証券の
>買いオペ増にとどまらず、長期国債の買いオペ、社債・株式・不動産など民間信用商
>品の購入、為替市場介入、連銀貸し出し、金利オプションの利用など、非伝統的手段
>を検討している。
「長期国債の買いオペ」を実施しても、その見返りとして渡った通貨は、おそらく再び国債や預金に向かうことになるだろう。
(預金が増加しても、安心できる投資先や融資先を銀行が持っていないから、安全だと考える国債に向かうはずである。そして、米国の場合、それに応えるだけの財政赤字と借換債の発行がある。オイルマネーやジャパンマネーなどの代わりになるだけとも言えるが、内国人だとデフォルトもできないので、政府の舵取りは大変になる)
「社債・株式・不動産など民間信用商品の購入」を実施しても、大きな損を免れてホッとする人を増やすことはできるが、その見返りとして渡った通貨も国債購入や預金(これも国債に)に回って、資本化=投資には貢献しないだろう。
「為替市場介入」は、どういう介入をするつもりだろうか?
ドル高介入:ドル以外の通貨を売ってドルを吸収することになるので、マネーサプライの増加にはならない
ドル安介入:ドルを売ることになるので、マネーサプライの増加にはなる。しかし、輸入財の価格上昇や原油など国際一次産品の価格上昇を誘発し、厖大な貿易収支の赤字から脱却できる経済活動力を既に失っている米国経済は、スタグフレーションになるか、中国製など廉価品への輸入が増加させてデフレを悪化させることになる。
(スタグフレーションはデフレよりは少しましな経済事象だが、廉価品の輸入増加によるデフレ悪化のほうが可能性としては高い。人々が、限られた可処分所得でなんとかこれまでの生活水準を維持しようと考えるからである)
金融的にどんな手段を採ろうとも、実物経済もサービス金融部門も悪化し、国際貸し出しも回収があてにならないという状況では、資本化される通貨が減少していくので、デフレを阻止することは困難である。
※ 拘束などしないと確約するのなら、ワシントンに出向いて説明することもやぶさかではないが...(笑)