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「政府はまた株式市場の需給環境を壊すつもりなのか」(米系運用会社幹部)。3付の日本経済新聞で金融庁の証券市場活性化行動案の内容が伝えられ、機関投資家が怒っている。同行動案の中に価格規制の新案が盛り込まれ、機関投資家の「信用売り」が俎上に上ったためだ。
●“素人”の発想に不満たらたら
「相場が一時的に急落しなければ、なんでも良いのか」(先の幹部)。報道では、市場環境の整備やディスクロージャー機能の強化も活性化策の一環として盛り込まれたが、大半の機関投資家の関心は価格規制に集中している。この規制が導入された場合、「システム対応に時間とコストがかかるのが確実」(別の米系運用会社)なうえに、「信用取引を縛ることで、需給に歪みが生じる」(国内系運用会社幹部)ためだ。
今年2月に空売り規制が強化されて以降、「信用の売り残高はほぼ横ばいで推移しており、株価低迷の真犯人は信用売りではない」(米系証券ストラテジスト)ことは明白。「市場を知らない素人官僚がまたもや的外れなことをやろうとしている」(先の国内系)と嫌がられているわけだ。折りしも9月中間決算を控えた時期である。一段の売り規制強化を伝える報道は、「何でもありの恒例の期末対策の一環」(同)と冷ややかに受け止められている。
●規制強化は急落につながる?
機関投資家の間で評判が芳しくないのは、システム対応の煩雑さや、規制強化の背後にある“意味深”な対策の主旨だけではない。「株価急落を阻止するはずの信用売り規制が、逆に株価を急降下させる要因となりかねない」(市場筋)側面があるためだ。
機関投資家の大半は、証券ディーラーのように短期の売買を行わないが、「損失回避目的でのヘッジ取引は頻繁に行う」(先の米系)。今回の規制強化報道では、ヘッジ目的の売りかかどうかを判別する線引きは明らかにされていないが、「場合によってはヘッジもままならない局面が訪れる可能性がある」(同)。
また、規制が強化された場合、「痛くもないハラを探られたくないため、売り決めを増やさざるを得なくなる」(欧州系運用会社)と指摘する投資家は少なくない。この際、注文を受ける側の証券会社では、「機関投資家の大口注文に備えるために大量の現物株を手当てする需要が発生する」(準大手証券)。この需要の裏側では「証券会社の自己売買部門から巨額のヘッジ売りを先物市場に出さなくてはならない」(同)という当然の取引が発生する。
●売りを阻止するはずが・・・
空売り規制強化の反動で先物市場に投機的な売り注文が厚みを増しているほか、ETF組成に絡む需給要因でも先物市場は値振れが大きくなっている時期だ。
ここに規制強化によって生じた新たな売りが加われば、「需給環境がますます複雑になり、投機筋の付け入る隙が一層拡大する」(同)リスクが膨らむというのだ。売りを阻止するはずの強化策が、「回りまわって相場全体を崩す」(同)ことにもなりかねないわけだ。
証券市場のインフラ整備は急務だが、「売りを規制すれば良いという発想は何とかならないのか」(先の国内系)と機関投資家の不満は増すばかりだ。
(相場 英雄)
・ETFなんかいらない!〜“超有望商品”が相場のガンに
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200208/02/20020802101513_84.shtml