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榊原論文が掲載されている「中央公論」7月号を入手できていないので、知らないことを幸いにして、“政府紙幣”構想を弄んでみる。
ちなみに、米国も憲法規定で通貨発行権を有するのは、FRBではなく連邦議会である。
[導入目的]
● 誤った経済政策で陥った「バブルの形成と崩壊」と誤った対処策によって長期化した「デフレ不況」により活力を失い続けている日本経済を回復させる
● 地方を合わせると900兆円にものぼる公的債務で身動きできなくなった国家財政の危機的状況を解消する
[導入手順]
政府紙幣は日銀券と等価の通貨であり、国内における財及び債務の支払いで日銀券と同等に通用することを法律で義務づける。
但し、政府紙幣は国外での通用性はないので国外への持ち出しは原則として禁止されるが、政府紙幣を外国通貨に両替することは日銀券と同様に認められる。
交換性を持つ外国通貨から国内流通通貨への交換は、両替主体の判断により、日銀券・政府紙幣のいずれでも可とする。
本店を国内に有する金融機関は、政府紙幣の預け入れを受け付けなければならない。
政府紙幣は、法律で定められた金額範囲とスケジュールで国債発行に相当するものとして発行される。これにより、新規の国債発行は禁じられる。
また、公的債務の利払いも、政府紙幣によって行われる。
政府紙幣の流通は、政府部門支出(公務員給与・物資調達・公共事業)と公的債務(対象となる公的債務の範囲は法律で定める)の利払いにより始まる。
国債発行相当額及び利払い充当以外の政府紙幣発行は、古い政府紙幣の廃棄と同額に限定される。
物価の安定を図るため、物価変動を1〜3%の範囲に収めるよう政府紙幣の発行を調整する。但し、公的債務の利払いは、優先的に政府紙幣によって支払われなければならない。
月ベースのチェックで消費者物価指数もしくはGDPデフレターが年率換算で3%を超える状況が3ヶ月以上継続したら、国債発行に相当する政府紙幣の発行は年率換算が3%以下の状況が3ヶ月以上継続するまで禁じられる。
これにより政府部門の歳出に支障が出る場合は、銀行からの短期借り入れにより補うものとする。
また、同じ方法で、消費者物価指数もしくはGDPデフレターが1%を下回る状況に対応することとし、この場合は、年間国債発行のスケジュールを前倒しするかたちで行う。
《社会生活の変化》
● 市民の日常経済生活は、支払いや債務弁済で日銀券と政府紙幣が混在すること以外の変化はない
● 企業など経済主体の経済活動も、日銀券と政府紙幣が等価で同じ機能を持つので変化がない
《経済状況の変化》
● 政府紙幣の発行は債務ではないことから政府支出が増加し、需要サイドに引っ張られるかたちで経済活動(供給活動)は活発になり、物価も上昇基調に転換する。
● 銀行に政府紙幣が預け入れられることで、日銀の公定歩合の意義が薄まる。
銀行の貸し出し金利は、インフレ予測率+借り手との需給関係で規定されるようになる。
預金金利は、貸し出し金利未満になる。
● 日銀が日銀券をインフレ予測率+実質金利で貸し出しすれば、日銀券に対する需要は減少する。(商業銀行は、潤沢に流通する政府紙幣を貸し出しに使ったほうが有利だからである)
● 発行開始時点で利子が付かない政府紙幣は、国民(政治)の声に押されて無規律に発行される危険性がある。(日銀券であれば、商業銀行は、通貨に対する需要状況から日銀に利子を支払っても得かどうかで日銀からの借り入れを判断する)
供給力を大きく超える通貨の増加は物価の高率上昇を招くことになるので、政府紙幣の発行量は慎重に調整されなければならない。
● 外国為替レートは日銀券単独の場合と同じ論理で変動する(はず)。
[感想]
もっと過激なスタイルも考えたが、微温的な範囲にとどめた。
政府紙幣が巧く運営されると、日銀券の存在意義が失われることは間違いない。
「デフレ不況」と「財政危機」が生み出した政府紙幣構想が、「近代経済システム」を根底から変えてしまう可能性が高い。
政府紙幣は、まったく無価値の通貨だが、仕組みとして現代版の小判や銀豆と考えるとわかりやすいはず...。