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(回答先: 失業者を3年後に半減 独政府諮問委が改革案を中間報告 【朝日新聞】 投稿者 招き猫 日時 2002 年 7 月 24 日 21:39:45)
「朝日新聞」の記事は雇用政策にウエイトが置かれ過ぎていたり曖昧な点が多いが、シュレイダー政権の新政策は実に評価が難しい政策だと思う。
>賃金の非課税限度額を現行の月325ユーロ(約3万8千円)から500ユーロに上
>げ、社会保険料を減らす。労働者にかかる雇用側の付帯経費を減らす一方、労働者の
>手取りを増やし、パートの職場を増やすという。
「朝日新聞」の記事では、社会保険料の減額が全勤労者なのか、500ユーロ水準以下の勤労者なのか定かではないが、全勤労者だとすれば、ドイツの国内需要を拡大するとともに国際競争力を上昇させるので経済が活発化する。
325ユーロから500ユーロの範囲に属する勤労者がどれくらいいるのかわからないが、これも、ドイツの国内需要を拡大する。
(ドイツ人は外国旅行好きだが、それを国内旅行に切り替えるだけで大きな国内需要増になるのに(笑))
>諮問委の提案は、全国の職業安定所の機能改善が中心。(1)職安に人材派遣会社の
>機能を持たせ、失業者をパート労働者として企業などに派遣する(2)若い失業者に
>は地元だけでなく全国の職を紹介し、若年者対策を強化(3)資格制度を緩和するな
>どして自営業を支援する、などを柱としている。
>提案は、パートの派遣を拒むと失業保険を受けられなくするなど、働く意欲がなく失
>業保険だけを当てにする人を減らす工夫も入れ、従来の「過保護」政策から踏み出し
>た。
これも、「朝日新聞」の記事では、月間パート賃金>=月間失業保険なのかという肝心なことがわからない。
月間パート賃金>=月間失業保険であれば、需要増加効果もあると同時に政府支出も減少するので問題ない。
しかし、月間パート賃金<月間失業保険であれば、成否支出は減少するが、需要は減少することになる。
国家のお墨付きでパートが採用できるとなれば、フルタイム雇用では二の足を踏んでいる企業がパートを採用することになり、雇用者数は増えるだろう。
この政策の怖さは、企業が長期的にパート採用を拡大しかねないことである。
国家は企業にフルタイム雇用を働きかけ、企業は私的なルートでパートを採用するというのが、これまでの雇用対策構造だったはずである。
国家自らが懲罰付きでパート採用を推進することになれば、企業は大手を振ってパートを採用することができるようになる。
えぐい例に出すと、フルタイムである必要はないと考える仕事に従事している人を解雇して、国が提供する人をパートで採用するようになる。
(穏当に言えば、フルタイムである必要はないと考える仕事に従事している人が辞めたときに...)
このような動きがドイツ中で広まれば、累積効果として大きな国内需要減になる。コスト削減効果でその需要減を補うほど輸出が増加すればそれなりにつじつまがあうが、そうでなければ、需要減→パート採用の拡大→需要減→・・・・という悪循環に陥ることになる。
「(3)資格制度を緩和するなどして自営業を支援する」は、ドイツ的経済システムになじむのかや、需要増が伴わなければ供給過剰を生み出して複数の経済主体がおかしくなる可能性があることを指摘できる。
短期的にはやってみる価値があると思うが、引き時が肝心という政策である。