現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
(回答先: 「金融再生最前線」〜2つの火種がくすぶる2002年夏<上>[PAXNet] 2002/08/19 09:31:00 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 8 月 19 日 20:17:48)
一見すると、何事も無くただ単に「暑い夏」を終えようとしている2002年夏―。しかし、日本全国を覆うような株安への不安は日に日に増長している。それが“生保危機”にストレートに結び付いていくことは前回説明した。今回はその株安が間接的な原因となって引き起こす大きな火種だ。
●焦点は債権放棄企業のフォローアップ
金融庁の特別検査に背中を押されるように、ゼネコンなどの処理が進んだ一方で、金融支援を受けた企業は数多い。その金融機関から支援を受けるための前提が、経営の再建計画だ。
再建計画はその売上げや利益などの数値目標を、決算期毎にクリアしていかなければならないことは言うまでも無い。金融機関に対してだけではなく、世間に対して行った公約でもある。約束は果たされなければ、その報いは、確実に受ける事になる。そうでなければ、公約の意味がない。その初めてのフォローアップが、この中間期に相当する。
●注目の筆頭はダイエー
注目は何と言ってもダイエー<8263>であろう。政策投資銀行という政府系金融機関と主力銀行が手を取って、ダイエー向けのファンドを結成する動きが最終段階を迎えている。しかし、ダイエー本体の業績の回復は思わしくない。店舗閉鎖の効果で赤字の店舗は大幅に減ったものの、改装などの効果は長続きせず、売り上げの回復は予想を大きく裏切る結果になっているとダイエー関係者は囁く。
しかも、この経営情報が、銀行側にしっかりと伝わっていないという。それなのに、政府がダイエーの再建にお墨付きを与えるかのような「政府系」ファンドが誕生しようとしている。なぜそこまでしてダイエーを救うのか。それはダイエーの破綻こそが、いまだに大手金融グループの経営を揺るがす最大の要因となる恐れがあるからだ。
●ゼネコン各社も正念場
また、ダイエーと同じく、金融支援を受けたゼネコンなども同じくフォローアップを迎える。これらの企業の業績が思わしくなければ、2003年3月期の決算は、一段と厳しいものになるだろう。そうなれば、支援そのものに対する疑念が生じかねない。支援を行った金融機関にとっては、本来は存続しえない企業を生き長らえさせただけでない、自らの経営悪化を回避するためだけの支援だったことが明白になる事で、その後の支援実施には大きく制約を受け、不良債権処理のスピードが鈍る事になろう。
●金融支援への「疑念」〜市場の混乱の引き金にも
米国で経済混乱や不安の引き金となったのが不正経理問題なら、日本は金融機関による金融支援への疑念が、市場の混乱につながる可能性が大きい。市場は再び売り浴びせ、レッドカードを突きつけるだろう。そうなれば、金融機関は、大口債務者の破綻という悪夢が再び現実のものになりかねない。危機の火種は、いまも静かにくすぶり続けている。
(東山 恵)
・「金融再生最前線」〜2つの火種がくすぶる2002年夏<上>
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200208/19/20020819093512_32.shtml
・「金融再生最前線」〜ゼネコン再編で復活した大護送船団行政
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200201/31/20020131100503_72.shtml
・「金融再生最前線」〜どうする生保とゼネコン“明治+安田の次”
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200201/24/20020124175013_02.shtml
・「金融再生最前線」〜それは総理の“ダイエーは潰すな”で始まった
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200201/17/20020117101513_29.shtml