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●静かな「夏」に潜む危機の火種
金融界を歩くと、会話の中に「今年は久しぶりの夏休みだなあ」という言葉をよく聞いた。緊張感の無さは相変わらずだが、これはここ数年というもの金融界にとっては、夏休み返上で、しかも、これまでに無い「暑い夏」だった事を意味している。金融再編の口火を切った「みずほ統合発表」が、ちょうど3年前の夏。これ以降、金融界はなだれを打って再編劇に突入していったからだ。
その舞台は、みずほグループが、システムトラブルにまみれながらも新たなフェーズに入った事でひとまず幕を降ろそうとしている。しかし、この静けさの陰に、危機の火種はしっかりと燻り続けている。政府関係者が囁くその火種はズバリ2つだ。
●すべては“米国頼み”
政府関係者が、口にするその火種の一つは、株安だ。日本の株価は、NY市場の株価が下げ止まりを演じる中で、落ちつきを取り戻しつつあるように見える。しかし、政府の月例経済報告や日銀の金融経済月報などを見ても、景気は下げ止まってはいるものの、まだ暗いトンネルを抜け出すまでには至っていない。
まさに、米国頼みなのだ。その米国景気は、企業の不正会計問題に端を発した株安で、景気減速を余儀なくされ、いま米企業の成長に対する疑念さえ抱かせ始めている。米国の国内消費の底固さなどが救いではあるが、米国の株価が中間選挙を前にしたブッシュ政権の政策努力で、このまま上昇に転じるのか。そう物事は簡単ではない。もし、株価がいったん下げ基調を強めればボディーブローのように株安は米国の家計に影響を与え消費の底固さなどを背景にした経済自体の力が大きく削がれる可能性が大きい。
●日本の株安が寝静まっている「生保危機」を揺り起こす
そうなれば日本の株価、いや、輸出主体の日本経済自体が風前の灯火となりかねないのだ。さらにこの日本の株安は、ひとまず寝静まったかのように見える「生保危機」を再び燃え上がらせる事にもなる。今年初めの「生保危機」以降、各社は骨身を削りながらも株価の売却を推進してきた。
しかし、いまだに政策的に保有している金融機関の株式や、処理仕切れないものが残っている。含み損となる株価水準は、損を覚悟で売却を進めた結果わずかながら上昇しているというが、株価が九千円から八千円の水準を割り込めば、表見は別として大手生保でも、実体は損を抱えるところがいまも多いと見られる。まさに、株価の下落は、生保の命の火を大きく揺らす事には、変わりは無い。生保の経営者は内心、株価の上げ下げに一喜一憂している。
(東山 恵)
・「金融再生最前線」〜ゼネコン再編で復活した大護送船団行政
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200201/31/20020131100503_72.shtml
・「金融再生最前線」〜どうする生保とゼネコン“明治+安田の次”
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200201/24/20020124175013_02.shtml
・「金融再生最前線」〜それは総理の“ダイエーは潰すな”で始まった
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200201/17/20020117101513_29.shtml