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☆米国市場展望(1)株は底入れ模索、決算本格化で心理好転に期待
NAA 1728 : 2002/07/15 月曜日 07:30
【NQNニューヨーク=渋谷淳】今週の米国市場では下落基調の続く株式相場
の動向が引き続き最大の焦点となる。様々なテクニカル指標の変化に相
場底入れの兆しを指摘する市場参加者は増えているが、今のところ投資
家心理の好転を促しそうなきっかけは見当たらない。底値を探る展開が
続きそうだ。
先週は下落相場の中身がやや変わった。主要な株価指数ではダウ工業
株30種平均の下落率が7.4%とナスダック総合指数の5.2%を上回った。
業種別にS&P500種株価指数に占める構成比率を比べると、エネルギ
ーが7.5%から7.3%に、消費一般が13.7%から13.5%に、ヘルスケアが
13.5%から13.3%にそれぞれ低下。半面、情報技術(IT)は14.2%か
ら14.6%に、通信が4.0%から4.2%に高まった。下げの主役がこれまで
のITや通信株から消費や薬品株に移ったと言える。
企業会計への不信がメルクなど従来型の大企業に広がり、投資家の疑
心暗鬼は一段と広がっている。加えて、市場で指摘されているのは優良
大型株や株式投信に対する換金売りの増加。資産対象として米国株を減
らす動きに加え、信用などの取引で追い証(追加担保の差し入れ義務)
を迫られた投資家の売りもあるという。
株価変動率の高まりや弱気派の急速な増加、さらに換金売りや投信の
解約増は、株安の最終局面に多い傾向との見方がある。今週から4―6
月期の決算発表が本格化。シティバンクやJPモルガン・チェース(い
ずれも17日)など銀行株や、マイクロソフト(18日)など逃避的な資金
の受け皿となっている銘柄群の決算を無事にやり過ごせば、投資家心理
は徐々に好転するかもしれない。ただ、米政府や米証券取引委員会(S
EC)が会計や企業活動に対する調査の厳格化や規制強化を進めており
、「短期的には企業の決算修正などが増える要因になるかもしれない」
(アメリカ大和証券の山田健彦次長)との警戒感は根強い。投資家の多
くが本格的な買いには及び腰だろう。
ブッシュ米大統領が企業幹部当時に株式購入のために低利融資を受け
ていた問題が報道をにぎわすなど、政局の混乱要素が増えたことも投資
家のリスクプレミアムを高止まりさせる一因になる
米金融、外国為替市場も株価動向に左右されやすい展開が続くだろう
。株安は投資家のリスク回避姿勢や米国資産離れを示唆すると受け止め
られている。株価の底入れ感が広がらない限り、安全資産選好から米国
債は買われやすく、米社債への資金流入は細りそうだ。今週は16、17日
に予定するグリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)の議会証言が最
大の注目材料。最近の株安や企業不信を踏まえた経済状況の分析や金融
政策方針が焦点となる。
消費者心理に及ぼす株安の影響を懸念する声はあるものの、足元で個
人消費は依然底堅さを維持している。このため、グリーンスパン議長が
景気の回復基調を改めて示唆し、景気に対する過度な悲観論をいさめる
との見方がある。モルガン・スタンレーの主席米国債券エコノミスト、
ディビッド・グリーンロー氏は1996年に議長が株高に対して発言した有
名な言葉「根拠なき熱狂」を引用し、「『根拠なき悲観』を抑制するの
に適した時期かもしれない」と指摘する。
米行政管理予算局(OMB)は12日、米財政収支の中間見通し(概算
)を発表した。2002年の財政収支予想は1650億ドルの赤字を予想。税収
減を背景に、2月に予想した1060億ドルの赤字から一段と悪化。財政黒
字への回復は当時予想した2004年から2005年にずれ込むと予想する。米
国債への資金流入観測が続く一方で、8月の定例入札に向け、国債需給
の悪化を予想する声は一段と増えるだろう。米国債の上値を抑える要因
は多い。一段の金融緩和にしても、かえって景況感の悪化につながりか
ねず予想しにくい。
米国債の堅調は米国資産離れの懸念を和らげる要因だが、米株安に連
動してドルが売られやすい構図に依然大きな変化はない。先週は対欧州
通貨のドル安が一服する一方、対円では1ドル=116円台に円高・ドル安
が進んだ。外国為替市場では対米同時テロ後の昨年9月に付けた115円
台に向け、政府・日銀の介入姿勢を試す展開が続きそうな気配だ。シカ
ゴ先物市場では円に対する投機筋の買い持ち高が9日時点で差し引き1
万200枚と前の週から872枚増えた。介入が円高の流れを止めることがで
きるかどうかは米株次第の面が強い。