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幻のルーベンス画に９０億円　ロンドンのサザビーズで
2002.07.11
Web posted at: 17:38 JST
- CNN/REUTERS/AP
ロンドン――当地の競売大手サザビーズで１０日、北方バロック絵画の巨匠ルーベンスの幻の宗教画「ベツレヘムの幼子虐殺」が、４９５０万６６５０ポンド（約９０億３０００万円）で落札された。落札した個人収集家の名前は明らかにされていない。絵画の落札価格としては英国で過去最高、世界でも史上３位の高額。
「ベツレヘムの幼子虐殺」は、ルーベンスが３０代半ばだった１６１０年ごろの作品で、救世主イエスの誕生を知らされたユダヤの王ヘロデが、イエスを殺そうと男の幼児を見境なく虐殺させたという新約聖書の場面を描いたもの。サザビーズが「第一級」と評価するこの傑作では、兵士らが母親から赤ん坊を奪いとり、投げ殺す。足下には、殺された赤子の死体がむごたらしく横たわる。容赦なく残酷な暴力が、迫力のある筆で生々しく描かれている。
１８世紀末に誤って弟子の作品とされたまま、リヒテンシュタイン公家を経て、最近ではウィーン在住の９０歳女性が所蔵していた。今年３月にサザビーズが競売を発表した後、先月になって同社の専属鑑定士がルーベンス作と鑑定を改めた。
サザビーズは当初、６００万ポンド程度での落札を予想して３００万ポンドから競売を始めたが、たちまち値がつり上がった。オークション室には５００人以上がつめかけ、競り値が１００万ポンド単位でつり上がるたびに、大きなどよめきが起きた。
英ＢＢＣによると、絵画落札の過去最高額は米ニューヨークのクリスティーズで１９９０年に落札されたゴッホ作の肖像画の８２５０万ドル（約９７億円）。２番目はニューヨークのサザビーズで同年落札されたルノワール作品の７８１０万ドルという。

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