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マクドナルドが8月5日からハンバーガーを過去最低の59円に!2年間の半額セール打ち切りで来店客数が大きく落ち込んだことが原因。業績回復は可能か?
「マクドナルド バーガー59円に値下げ」のニュースが話題になっています。ハンバーガー平日65円の恩恵に預っていた筆者としてはとてもうれしいニュースですが、マクドナルドの業績は今後どうなるのでしょうか?
マクドナルドは2月に2年間続けてきたハンバーガー価格を平日は65円とする半額セールを中止して80円へと値上げをしたばかりです。しかし、来店客数が2月以降の既存店ベースでは前年同期比で16%以上のマイナスとなる状態が続いているようです。
2月の半額セール中止時点で、当時の藤田社長(現会長)が「安さだけでは消費者が動かなくなっている」として値上げを意思決定し、さらに「(マクドナルドの値上げが)日本全体のデフレの転換点になるかもしれない」とまで豪語していたのですが、完全に思惑が外れてしまいました。
マクドナルドは原材料を輸入していますので為替レートも収益に大きく影響します。値上げに踏み切った2月は円安によるコスト増が収益を圧迫していましたが、これが値上げに踏み切った大きな要因になったものと思われます。米国経済が不調のため為替レートは当時より円高傾向にありますが、為替レートの変動がマクドナルドの収益に大きな影響を及ぼすことは重要なポイントです。
マクドナルドでは、バーガー59円への値下げによって業績がどこまで回復するかが不透明なため安さ以外の魅力をアピールする戦略も展開するようです。例えば、大都市圏の既存店を6月までに「マックトーキョー」に切り替え女性客の開拓を図り一定の成果を上げているようです。また、高級サンドイッチチェーンの出店にも着手するようです。
しかし、マクドナルドの業績回復という観点からしますと大きなインパクトを与えるものとは思えません。やはり59円という価格とすることによって来客数を復活させることができなければ業績回復はありえません。
マクドナルドの例は、突出した強みを持つ企業が、その強みを捨てる行動に出ることがいかに暴挙かを知る好例だと思います。経営側としては低価格以外にも売上向上のために、おまけがついているハッピーセットを売ってファミリー層を集客するなど様々な販促手段を講じています。すると、本当はマクドナルドを支えている強みが「低価格」なのに、低価格が様々な販促手段の1つであるかのような誤解をしてしまったのではないでしょうか?
マクドナルドの低価格は原材料調達、店舗オペレーション、出店、物流、情報システムなど経営に関する全ての機能によって実現されているものです。単なる販促手段とは次元が異なる全社員の血と汗の結晶であり、従って競合他社が簡単にマネできるものではありません。
一度、離れてしまったお客様を呼び戻すことは簡単ではありません。しかし、お客様が価格に敏感ならば好反応を得ることができるかも知れません。景気が悪い状態が続いていますから消費者の価格に対する反応は非常に鋭いものと思われます。また、低価格というマクドナルドの強みは競合他社が簡単に追随できるものではありません。お客様のニーズに合致すれば充分に復活の可能性はあると思います。
駒木 尚之
提供:株式会社FP総研