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「日本の弱気相場の役割が大方終了した」―英国人の著名な証券ストラテジストで、日本の株式マーケットにも影響力のあるピーター・タスカ氏が3日、事実上の「日本株・強気転換」を意味するリポートを発表。その内容が市場関係者の関心を呼んでいる。
バブル崩壊前後から一貫して慎重な相場観を表明していたタスカ氏だが、今春以降、ブル(強気)を臭わせるリポートを出すようになっていた。今回の「弱気相場終了宣言」で、長期的な相場観の転換はこれまでになく鮮明になったといえる。
●「日本株は極めて割安」
タスカ氏は1983年、ドレスナー・クラインオート・ベンソン証券の日本株担当ストラテジストに就任。各種メディアを通じて東京株式市場や日本経済の問題点を流暢な日本語で鋭く衝き、1992年〜96年にかけて日本経済新聞社の調査によるマーケット・アナリスト・ランキングでは5年連続でトップに輝いた実績の持ち主である。
「揺れ動く大国ニッポン」、「日本の時代は終わったか」、「日本は甦るか」、「不機嫌な時代」―など日本語で著した書物も多い。筆者も何度か取材したが、決して饒舌ではない。むしろ、物静かに淡々と話す。独特の歴史観を持っており、哲学者のような印象すら漂わせている一風変わったストラテジストだ。
そのタスカ氏が発信した今回のリポートによると、日本の株式市場は「企業収益に対して極めて割安な位置にある」という。
●実質配当利回りは3%台
実際、過去10年間の平均企業収益と株価を比較すると、歴史的な割安ゾーンに到達しているとし、「日本は多くの問題を抱えているにもかかわらず、現在の株価水準に対して堅固な利益基盤を提供していることは明らか」と強調。
日本株が割安であることの根拠として「益回り」が10年債利回りの倍以上に達している点を挙げている。益回りとは、PER(株価収益率)の逆数。つまり、一株利益を株価で割ったもので、この数字が高ければ高いほど株価は割安とされる。
同時に日本株が「実質配当利回り3%」という高い水準にあることもタスカ氏の強調点のひとつだ。米国株が企業収益に比べ「大幅にアウトパフォームしている」状況と比べると、彼我の差は明らか。
水は高きから低きに向かって流れるように、国際資金の流れも長期的にみて、割高の米国から割安の日本株へシフトしていく―そこまでタスカ氏はハッキリ書いてはいないが、リポートの行間からはそうしたメッセージが読み取れる。
●弱気論との“戦い”は本番へ
大和総研によれば、今年度と来年度、連続して営業利益が史上最高益を更新する見通しの企業は実に780社。その多くは時価総額2000億円未満の中・小型株で、「日本のバブル崩壊や今回のITバブル崩壊の痛手を受けていない企業が多い」(大和総研・投資戦略部)。このような企業を含めた日本株の平均PERについて、これまた著名なストラテジストである野村証券金融研究所の芳賀沼千里氏は1日、「今期連結でほぼ24倍、来期予想で20倍まで低下しており、日本株の割安感が顕著」と指摘。期せずしてタスカ氏と同意見となった。
6月以降の下げ相場で、ひとつ特徴的なのは目先的な変動に憂き身をやつしがちなマスコミや国内機関投資家が概して弱気が多いのに対し、長期のスパンで相場を俯瞰(ふかん)しているタスカ氏のようなストラテジスト、またはチャーチストの間で強気論が台頭している点だ。さて、どちらに軍配が上がるか―。
(楠 英司)
・「打つ手なし」―だから買い場!〜カリスマ・チャーチストも強気転換
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200206/27/20020627102517_71.shtml
・浮上!弱気相場に「3つの強気論」〜ピンチはチャンス
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200206/20/20020620100515_43.shtml