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IT(情報技術)不況が深刻度を増すなかで忘れられている重要なポイントがある。それはユビキタス情報社会になると、電力消費が過去の実績では考えられないくらいに急増するということだ。米ブッシュ大統領は最近、ことあるごとに原子力発電の再開に言及している。それは「200年レベルでの情報化が進むと2010〜2015年には全米で100基もの新設原発が必要になる」との指摘があるからで、ITのもつ電力多消費の新たな課題がブッシュ大統領の再三の発言に集約されているといえよう。最新のペンティアムプロセッサーの表面温度が130℃にも達するデータは、実はあまり知られていない。
●「信じられない電力不足」・・・だが・・・
「世界の先進国で電力の供給不足を本気で心配している国がある」といったら多分笑われるだろう。石油は潤沢であるし、備蓄もこと先進国に限ってはまったく心配ないからだ。ましてやそのために原発の新設が必要だ、といったら、信じてもらうには相当の努力と忍耐が必要になるだろう。最近の原発政策の変更にかける米国の意気込みには、それくらいの突然の印象がつきまとう。
●米国では「あと10年で大規模停電頻発」か?
その背景にあるのは、急激なIT社会の普及がかつてないほどの電力消費を伴うからだ。「それは爆発的といっていいほどの大量消費につながる」と話すのは、実際に試算した超電導工学研究所の田中昭二所長だ。同所長によると、今のペースで米国の情報化が進むと10年程度で電力の供給余力はなくなり、一昨年にカリフォルニアで起こったような大規模な停電が至るところで頻発する、という。
カリフォルニアのケースは、電力自由化の影響といわれるが、今後は「ユビキタス情報社会と停電」が経済の大問題として浮上してくることになりそうなのである。前出の田中所長は、そのために超電導送電が必要だといっている。ブッシュ大統領は、原発の再開がその近道だという。
●遅れる日本〜“電力自由化と原発”が今後の焦点に
今後、両面での電力確保策が必要になることは間違いなさそうである。電力の自由化は、将来これまでなかったような極端な電量需要が見込まれることに対応した「転ばぬ先の杖」であるのに、経済産業省は産業競争力の観点でのみ自由化を進めようとしているようにしか見えない。
原発への新規投資が激減して、東芝<6502>、日立製作所<6501>などを軸とした原発メーカーの影が薄くなってきているが、早晩、「自由化と原発」が大きな電力政策の軸として登場してくることは必至。ITとエネルギーが大きなテーマとして取り上げられることがほぼ間違いが無い。
(伴有 亮太郎)