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(回答先: Re: ニュージーランドでは・・・ 投稿者 てんさい(じ) 日時 2002 年 6 月 14 日 18:48:09)
ニュージーランドは数年前の深刻な財政危機に陥いったときに、資産の切り売りのために郵便事業は米国の民間企業に売却、国営航空事業もオーストラリアに売却
したそうです。日本は対外債務はありませんから、政府はまさかそこまでは考えていないとおもいますが。
平成14年1月6日(日) 産経新聞
「規制緩和の”落とし穴”」
オークランド大法学部教授 ジェーン・ケルシー
ニュージーランドは20世紀のほとんどの間、非常に強力な公共投資を行い、福祉国家を目指す国家運営をしてきました。ところが、1984年にラジカルな、そして一方的かつ抜本的な構造改革が開始されました。
この中で、貿易自由化、規制緩和とともに、国家の役割と規模が縮小されました。これは、政府所有の企業を完全に商業的企業にするというもので、民間的な経営手法が導入されました。そして、その後、民営化するというものでした。
このような動きから17年たちました。当然、プラスのこともありました。多くの分野では、消費者により多くの選択肢が与えられるようになりました。政策決定のより多くの分野が、地方自治体に権限委譲されました。
=== NZでは再規制検討 ===
しかし、一方でマイナスの結果も出ています。対外債務がGDP(国内総生産)を上回るようになり、国内の重要なインフラは、ほとんど外国の資本に所有されています。
規制緩和が行き過ぎたため、分野によっては政府が再規制を考えなければならない事態が起きています。例えば、政府がニュージーランド航空の一部資本を買い戻す必要性が出ていますし、同様のことは電力や鉄道網にも言えます。国営の銀行を再び設置する必要性も生じてきています。総じて言えるのは、多くの公的サービスのインフラが危機的な事態になってしまい、また、社会的には貧困や不平等が拡大しているということです。
=== 銀行の99%が外国資本 ===
さて、ニュージーランド・ポストについてですが、87年、国有企業化されました。移行当初は、郵便局の閉鎖、人員削減、農村部での配達料値上げにより、社会的な問題が発生しました。その結果、ニュージーランド・ポストに対する国民の評価は低下し、結局、民営化には至りませんでした。
その後、98年に郵便の規制緩和が実施され、独占は撤廃されました。 しかし、国民は完全な規制緩和について、1.安全性・プライバシーの低下2.雇用の喪失・労働条件の劣化3.料金値上げ−などの点で憂慮しています。
一方、郵便銀行は、87年、純粋に利益のみを追及する国有企業となり、その2年後、売却されました。このとき、政府所有のすべての金融機関も売却されたこともあり、現在、国内の銀行の99%以上が外資所有となっています。 ここで発生した問題には、1.支店の閉鎖A低所得者が金融サービスを受けられないという金融排除の発生3.手数料値上げ−などがあります。こうした状況が利用者の不満を生み、結果として、国営のあらたな国民銀行−キウイバンクの設立という事態になっています。
このニュージーランドの経験を、日本に当てはめて考えてみたいと思います。
ラジカルな規制緩和を行った場合、コミュニティーと労働者が脆弱化します。
=== 郵便民営化すべきでない ===
郵便事業について言えば、民間事業者に何らかの義務を課さず完全な規制緩和を実施すれば、事業と国民は非常に脆弱な立場に置かれてしまいます。
したがって、郵便事業は民営化すべきではありません。安全性と平等性と効率性のバランスを取ることができるのは、国家が関与する場合だけなのです。これは国民に対する金融サービスについても同様です。
現在、日本で行われている議論に関する私の見解は、日本は他の国のまねをすべきではなく、明確、かつ長期的なビジョンを持って主体的に取り組むべきだということです。
日本の場合、ニュージーランドとは異なり、十分に検討し、正しい道をとって前進できる可能性・チャンスが、まだ目の前に残っているのです。