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「現在、衆院の財務金融委員会に、米系大手格付け会社の“ムーディーズ・インベスターズ・サービス”の代表者を参考人として招致すべく、調整作業を進めている最中です。もし出席ということになれば、与野党問わずムーディーズ社に集中砲火を浴びせることは必至でしょう。このため、ムーディーズ社サイドは、出席を渋っているのが現状です。われわれとしては何としてでも参考人招致を実現させ、ムーディーズ社の問題性を明らかにさせていきたい」
衆院財務金融委員会に所属する自民党代議士がこう言ってみせる。
こうした状況の中、ムーディーズ社をめぐって興味深い“事件”が勃発(ぼっぱつ)した。
その“事件”とは、今月に入ってムーディーズ社がイラン国債に対する格付けを撤回し、新規の格付けを付与することを中止すると発表したことを指す。
「実は、この“格付け撤回”によって、イランが年内にも発行を予定していたユーロ建て国債の発行そのものが、危ぶまれる状態に追い込まれてしまったのです」(大手証券会社幹部)
イランは5月末、欧州マーケットで独コメルツバンクを主幹事とする5億ユーロ(約600億円)を上限としたユーロ建て国債を発行する計画を明らかにしていた。
「このイランの国債発行は、79年の政変−いわゆる“イスラム革命”以来、初めての国債発行となります。それだけに、欧米の金融機関は注目していたのです。ところが今回のムーディーズの“措置”によって、米系金融機関の多くはイラン国債の引き受けを見送る公算が大きくなってきたのです」(大手証券会社幹部)
つまりそれだけムーディーズ社の影響力は大きいということなのだろうか。
「むしろ、米系金融機関はムーディーズ社の今回の決定の背後に、米国政府のある種の“意図”が強く働いていることを感じとっているのです。そもそも米国は、イランをイラクおよび北朝鮮とともに『悪の枢軸』と定義づけ、こうした国に対して経済面も含めて制裁措置をとっているのです。ところが、そうした国が発行する国債−特に外国通貨建て国債に格付けを付与するということは、『悪の枢軸』に外貨の獲得を認めるということにほかなりません。つまり米国政府の政策と格付けを付与するという行為とが完全に矛盾してしまうことになるのです」(大手証券会社幹部)
つまりムーディーズ社は、イラン国債を“無格付け”とすることで、イランがスムーズに外貨獲得を行うことを意識的に阻止してみせたのである。
「こうしたことから考えて、ムーディーズ社が米国政府の“別動隊”であることは明白だろう。つまり、日本国債が一気に2段階もの格下げにあったのも、ある意味で米国政府の意図が働いていたからだ、と見るべきだ」(大手証券会社幹部)
つまりムーディーズ社に代表される米系格付け会社の格付けは、決して公正・中立的なものではない、ということを認識すべきだろう。
財務省の大村雅基参事官が言う。
「そもそも格付け会社の格付けとは、過去のデフォルトデータ(倒産確率情報)をベースにしたものなのです。そうした意味において、20世紀初頭からデータの蓄積のある私企業の債務に対する格付けは、一定の説得性を持つことは認める。ところが、ムーディーズ社が国債の格付けを始めたのは90年代初頭で、たかだか10年程度のデータの蓄積があるだけだ。これで正確な判定、つまり格付けができるのだろうか」
ここはぜひとも、ムーディーズ社の代表に国会に出席していただいて、一連の疑問に対して明確なご説明をしていただきたいものだ。
ムーディーズ社の決まり文句である、「これはあくまでも1つの見方です」などという三百代言はもはや許されるものではない。