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Re: 「インフレ・リスク」ではなく「デフレ・リスク」こそが大問題 投稿者 あっしら 日時 2002 年 6 月 07 日 16:08:25:

(回答先: 株安止まらず!米株式市場回復の条件とは?(MSNマネー) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 07 日 10:25:03)

NY株式市場の株価(ダウ平均)は8月頃には8,000ドルを切ることになると考えているが、それはともかく、オリジナルの文章にある「インフレ・リスク」について一言。

>日本は消費者物価指数がここ3年ほど下がり続けている「デフレ状態」であるが、欧
>米は景気が減速したとはいえそこまでひどい状態になっていない。

応酬は緩やかなインフレだが、米国と中国は、ディスインフレ(デフレ)である。


>今後、世界経済が回復する中で米FRB(連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)
>等の利上げのタイミングが遅れてしまい、現在の史上最低レベルの金利水準がしばら
>く続くことになれば、1970年代のようなひどいインフレになる可能性がある。

これは、近代経済学が抱えている最大の誤謬である「高金利=物価抑制、低金利=物価上昇」や「需給理論に基づく、貨幣の高価格(=高金利)は貨幣への需要を減退させる」という理論のストレートな適用である。


高金利:

金利負担の増大はコスト上昇に直結するので物価は上昇する。但し、可処分所得の総和=総需要が一定であれば、販売不振に陥いるため、企業収益が低下したり、物価反落の引き金になる。


低金利:

金利負担の減少はコスト下落に直結するので物価は下落する。但し、競争条件が緩ければ物価は下落せず、企業収益の上昇に貢献することになり、金融資産価格の上昇をもたらす。


貨幣の高価格:

借り入れ対象の貨幣は、その貨幣を使ってより大きな貨幣を手に入れる目的のものである。名目的に高い金利でも、その貨幣を使って生産する商品が高く売れるのであれば、積極的に借り入れするものである。(限られた可処分所得で消費してしまうものを買うという一般商品と貨幣は異なる商品である)
名目金利が9%でも、インフレ率が10%であれば、実質金利はマイナス1%である。

このようなことから、「米FRB(連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)等の利上げのタイミングが遅れてしまい、現在の史上最低レベルの金利水準がしばらく続くことになれば、1970年代のようなひどいインフレになる可能性」はないのである。


>それでは、株式市場回復の鍵はいったい何なのでしょうか?

それに対する回答は、「最も重要なのは「インフレを起こさせない」という強い政策意志です」となっているが、緩やかでも実質経済成長がプラスであるのなら、インフレにより株価も上昇する。


最後に、米国がデフレでありながら、欧州がインフレであるのは、貿易赤字(国内産業)に対する態度の問題である。
厖大な貿易赤字を放置して輸入を続けている米国は、デフレ(物価下落)になっている日本や中国の影響を強く受けるが、そうではない欧州は、それほど影響を受けていないということである。

米国経済の悲劇は、超低金利でデフレでありながら、長期金利が5%を超えるという実質金利の超高金利にある。(これは、国内余剰資金不足と外国からの還流資金不足の反映でもある)


先進国の中所得者(中産階級)は失業や資産価値下落で“下方”に落ちていく傾向にあり、低所得者は相変わらずという状況で、欧米諸国がインフレに見舞われることはない。


今後の世界は、日本と中国という「世界の工場」がデフレ状況にあることで、「世界同時デフレ不況」の危険性を抱えているのである。

「デフレ不況」の怖さは、ここ5年の日本を見てきてわかっていると思うので語らない。

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