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「テロ」や「戦争」の懸念、あるいは「インフレ・リスク」が織り込まれている理由からか欧米では株式市場の下落が止まりません。これらのリスクを抑え、市場を回復に向かわせるための条件とは?
■ 株式市場の下落が止まらない 日経平均は例外
欧米では株式市場の下落が止まりません。堅調な日経平均は世界の中では例外です。6/4(火)までの3ヶ月のパフォーマンスをみてみると、NYダウ平均が−7.2%、ナスダック指数が−15.4%、ドイツDAX指数が−11.5%等となっている中、日経平均は+2.8%です。日本人の私たちにとって「株式市場」といえば日本株のことであり、日経平均が上がっていれば「株式市場」は大丈夫、ひいては景気も心配ないと思いがちですが、より広い世界に目をむけると景気について心配している人の方が圧倒的に多いのが分かります。
■ 欧米市場には「テロ」「戦争」が織り込まれている?
それでは、なぜ日本市場だけが例外なのでしょう?報道では一つの仮説として、欧米の市場には景気減速懸念とともに「テロ」や「戦争」の懸念が織り込まれているが、日本にはまったくないからだといわれています。しかし筆者はこの見方には反対です。日本だけがテロの対象にならないと保証はどこにもない上、日本の景気回復が今のところ完全な「外需主導」、つまり欧米市場への輸出が牽引して起きている景気回復だからです。仮に、テロや戦争で欧米経済がおかしくなれば、日本経済はより大きな影響を受けるはずです。
■ それとも「インフレ・リスク」が織り込まれているのか?
また、「インフレ・リスク」が理由だという仮説もあります。つまり、日本は消費者物価指数がここ3年ほど下がり続けている「デフレ状態」であるが、欧米は景気が減速したとはいえそこまでひどい状態になっていない。今後、世界経済が回復する中で米FRB(連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)等の利上げのタイミングが遅れてしまい、現在の史上最低レベルの金利水準がしばらく続くことになれば、1970年代のようなひどいインフレになる可能性がある。ただし日本は例外で、多少物価が上がってもそれは「デフレからの脱却」であり、けっして「インフレ」ではない...という意見です。
この意見については筆者も一理あると思っています。しかし、この様な状況が本当に起こった場合、インフレ率の格差から円高になり、日本の景気回復の勢いが殺がれてしまう可能性が高いと思います。日本企業の中で今元気なのは、自動車・電子部品といった輸出のウェイトが高い業種だけです。非製造業は乱暴にいえば依然として全部ダメです。つまり「構造改革」がとくに必要な部分に改善があまり見られていないのです。
現在の状況では「為替円高」、「日本株の相対的な強さ」が目立つことから、この「日本のデフレからの脱却」、「欧米のインフレ」というリスクが過剰に織り込まれているような気がしています。
■ 株式市場回復の条件は?
それでは、株式市場回復の鍵はいったい何なのでしょうか?最も重要なのは「インフレを起こさせない」という強い政策意志です。米国の政策をみると現在は財政・金融ともにかなり過剰な拡張政策になっています。今年に入ってからの財政収支の急速な悪化は将来的なインフレ圧力になりますし、グリーンスパン議長が景気に対して慎重で利上げに消極的なように見えるのもいざ景気が予想よりも良かった時に利上げが遅れるのではないかという懸念を起こさせます。
また、中東やインド・パキスタンの紛争は、石油価格にとって大きなリスクになっています。米国がイラクに攻撃を加えるようなことになれば、湾岸戦争当時のように石油価格が一段と上昇することは十分に考えられます。この時、金融政策でインフレを抑えることができるのかどうかも不安です。
「小さな政府」、「ドル高政策」、「テロ・地域紛争に対する冷静な対応」、「グリーンスパンの手腕」...これらが株式市場回復の条件となるでしょう。
提供:株式会社FP総研