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Re: 国債金利スワップ取引の本質と狙い 投稿者 あっしら 日時 2002 年 6 月 06 日 18:48:47:

(回答先: 財務省の金利スワップ取引は国債の“有事対応”か、実施見通しは不透明との声[東京6日ロイター] 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 06 日 16:56:25)

国債の金利スワップ取引は、財務省官僚の“浅知恵”と“悪知恵”が結合した政策である。

■ 金利スワップ取引の内容

まず、オリジナルには金利スワップ取引の内容が説明されていないので、財務省が考えている金利スワップの取引内容を説明する。

「短期国債を発行する際、金融機関などとスワップ取引の契約を結んで短期の変動金利を受け取り、相手には長期固定の金利を支払うという取引である」

例えば、

短期国債金利:0.01%
スワップ市場10年物金利:1.4%
LIBOR短期金利:0.1%

という条件であれば、政府は、短期国債の金利0.01%とスワップ市場の10年物の金利1.4%の計1.41%を支払い、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)市場の短期金利0.1%を受け取り、政府の金利負担は、差し引き1.31%となる。


※ ちなみに、フランスが行っている金利スワップ取引は、固定金利の支払いと固定金利の受け取りが同額で行われている。これは、市場に影響を与えにくいポジションである。

■ 短期国債の長期金利相当での発行

前述の政府金利負担の値を見てもわかるように、0.01%で発行される短期国債の実際の金利負担が1.31%になる。
長期国債が1.4%だから、長期国債を基準に考えれば、マイナス0.09%と言えるが、実例は、あくまで短期国債の発行である。
短期国債を基準に考えれば、プラス1.3%である。

そうしなければ国債が消化できないと言う問題を脇に置くと、政府は、1.3%も余分に金利を負担することになるのである。


■ スワップ取引の落とし穴

財務省が考えている金利スワップ取引は、“変動金利”と“固定金利”のスワップ取引である。
財務省は、日本の金利が最低レベルにあると考えているのだろうが、それはほぼ正しいとしても絶対ではない。支払う金利1.41%は、長期金利が下がって例えば1.2%になっても.そのまま1.41%で変わらないのである。

一方、受け取る金利0.1%は、“変動金利”であり、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)市場の短期金利が下がれば、そのまま下がるのである。

例えば、前述の条件でのスワップ取引後に、

スワップ市場10年物金利:1.2%
LIBOR短期金利:0.02%

になれば、政府の金利負担は、1.39%になる。これは、10年物金利である1.2%よりも高い金利を負担することを意味する。

このような“危うい”取引が、10年とかいった期間継続されるのである。

長期の為替スワップ取引が裏目に出たために、オーストラリア政府は巨額の損失を出している。


■ 金利スワップ取引は長期金利上昇を阻止できない

引き受け不足状況のなかでの長期国債の大量発行が、余剰資金の状況によっては長期金利の上昇を招くことは自明である。
そして、それは民間の貸し出しや債券の金利上昇につながっていく。(安全面で最優良金融資産である国債は基本的に最低利回りであり、ハイパーインフレなどで国債価値が大幅に下落するときは、民間向け債権も大幅に下落する)

しかし、それを阻止する政策として金利スワップ取引はなんら有効ではない。

これまでの説明でわかるように、長期に継続される取引だとは言え、短期国債の実質利率が1.31%という高利率になるのである。

2001年12月末のTB(割引短期国債)残高は42兆5320億円で、2001年3月末現在の1年以下国債残高は、63兆8179億円で全体の17.4%を占めている。
今後は、それ以上の短期国債が発行されることになる。

短期国債の利率は、言うならば最低貸し出し金利である。
長期に継続される国債取引で短期の運用利回り年利1.31%が実現されるときに、一般の短期貸し出し利率が影響を受けずに済ませられることはない。

そして、短期の貸し出し利率が上昇すれば、否応なく長期の貸し出し利率も上昇する。
(リスクの差異で長短の金利差は生ずるものであるから、短期が上昇すれば、長期も連れて上昇する)

重要なことは、金利スワップ取引は長期取引なのだから、長期金利が上昇しようとしているときに導入しても、長期金利上昇をくい止めることはできない。
1.4%であるスワップ市場10年物金利が、1.6%や2%になっていく。
短期国債金利−LIBOR金利がマイナスであれば、その分長期国債を発行するよりも、金利負担が軽くなるという話である。
これは、あくまでも長期国債と比較しての話であり、短期国債と比較しての話ではない。
長期金利上昇を阻止したいということが目的だとしても、金利スワップ取引は、その目的を達成できないのである。


■ 財務省官僚の狙い

● どんな手段を使っても国債を消化する

金利負担が上昇しようとも、なんがなんでも「国債サイクル」を維持するという自己保身の現れである。
長期国債の消化が難しければ、名目だけ短期国債にして、実質(金利)は長期国債として引き受けさせるという考えである。

金利スワップ取引で全部の国債を短期で発行しても、これまで0.01%の金利負担の短期国債が17%を占めているのだから、全体で見れば、政府の金利負担は増大することになる。

● 銀行の財務状況を改善する

銀行も口に出さないが、金利上昇で保有国債の価値が減少するのではないかという危惧を抱いている。その一方で、短期国債に引き受けが殺到することでわかるように、運用難のなか資産ポジションの改善をめざしている。
この金利スワップ取引で、長期間継続しなければならないとはいえ、0.01%しかない短期国債で、1.31%の金利を稼ぐことができるようになる。
(どのみち、短期国債は欲しいし、国債消化は強いられるのである)

国債問題及び日本経済問題でいちばん考えなければならない問題は、実質金利の上昇である。
名目金利はこれ以上下がらないし上げないという前提に立てば、実質金利の上昇は、デフレ率の高まりによってもたらされることになる。
名目金利が1.5%でも、デフレ率が1%ならば実質金利は2.5%になり、デフレ率が2%ならば実質金利は3.5%になるのである。

これは、借入をしている家計・民間企業・政府のすべてにずっしり負担となって被ってくる問題である。
財務省は、表面金利ではなく、何よりも、実質金利を軽減する方策を考えなければならないのである。

そのためには、幅広い国民(低中所得者)の可処分所得増大(減税)と名目金利の緩やかな上昇によるインフレ誘導政策を実行しなければならない。

インフレになれば実質金利をマイナスにすることもできるが、デフレである限り、実質金利は必ずプラスなのである。


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