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NY金価格325j突破(SUMITOMO GOLD NEWS) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 5 月 29 日 21:15:40:

NY金価格325j突破(☆☆)

堅調に推移している金価格が、今朝方終わったNY市場の取引で一時325jを突破した。
足元のNY市場で中心となっている取引の価格は、325.80jまであがり終値が324.10jと2000年3月以来の高値水準へ。また、現物取引のほうも同じく325.80jまで買われ、こちらは1999年10月以来の高値となった。
前者は、カナダの大手鉱山プラーサー・ドーム社がヘッジ売り中止宣言を表明した際に、後者は、(欧州15の中央銀行による金の売却と貸出を制限した)「ワシントン協定」が結ばれた直後にそれぞれ記録した価格である。つまり、いずれも“イベント”に関連して市場が反応し、記録した高値だった。
フュチャーズ(先物取引)主体のNY市場は、それだけにいわゆるホット・マネーと呼ばれる投機的性格の強い資金が集まりがちである。ファンドが買い越し状態にあることは、当欄で何度か取り上げたが、直近のデータによると46,914コントラクト(枚)、重量換算にして146dの買い越しとなっている。この場合の「買い」は先物取引であるので、将来の「(決済にともなう)売り」につながるものとなる。つまり、これだけ買いが膨らむと、一般的には将来の売り要因も増えているという意味で“荷もたれ感”とでも表現すべき状態になり、心理的要素もあって値動きは重くなりがちである。ところが現在の市場環境はそれを感じさせない“勢い”がある。株でも何でもこうした状況の説明に使われる表現に「回転が利いている」というものがある。その意味するところは、「利益が乗っているので売りも相応に出るのだが、新規の買いも入っており、そうした売りはこなされ、価格は堅調に推移」している状況を指す。いまのところ“回転の利いている”金市場に荷もたれ感はない。
ならば、なぜこうした好循環に金市場は入っているのだろうか。
まず、第一に価格上昇のパターンである。思い出して欲しいのは、今回の上昇トレンドのそもそもが、「鉱山ヘッジの解消」という90年代とは180度異なった鉱山会社の金市場へのかかわり方にあった点である(参照4月26日配信号)。これにより市場の「基盤」とも言える需給(まさに「ファンダメンタルズ」)の好転が見られ、価格上昇がもたらされた。上昇が、事件や事故など“イベント主導型”ではないため、「急騰」することはないが、逆にそれが相場の寿命を延ばしているのである。派手な上昇は、結局は「実需」と呼ばれる現物買いを手控えさせ、時間の経過とともに上昇の基盤が蝕まれることにつながるのである。イベント主導型の上昇が、短命に終わるのはそのためだ。別の表現をすると、今の金市場は「下値切り上げ型」となる。その傾向がある一定時間続くことで、市場に自信が生まれ(センチメントの好転)、下げたところはすかさず買いが入るという展開につながっている(いわゆる「押し目買い」)。
価格動向の背景はいつも複合的であるが、こうしたパターンをもたらしている要素でもうひとつ指摘したいのは、金鉱株の動きである。
金鉱山が多く存在する南アフリカや北米の株式市場には、それに見合った数の金鉱山会社が上場されている。それらの市場では、金鉱山株の「株価指数」が公表されているが、それらを見ることも金市場を分析する際の手助けとなる(その「重要度」は時代の流れ、環境変化で変わるが)。代表的なものに、フィラデルフィア取引所の金銀鉱株指数(XAU)やヨハネスブルグ取引所の南ア金鉱株指数がある。
とりわけ注目度の高いのが「XAU」で、この指数は金鉱山会社を中心にした9社で構成される株価指数でニューモント・マイニング、アングロ・ゴールド、バーリック、ハーモニー・ゴールドなど主要鉱山が網羅されている。過去1年を見ると、安値が2001年11月19日の49.23ポイントで、年初は55ポイント前後で推移していた。2月以降、金価格に連動するかたちで上昇しており、本日(現地28日)は、88.65ポイントで年初来の高値を更新して終わっている。ざっと80%の上昇率である。もともと金鉱株は金本体と比較して一般的に3〜4倍の値動きとなる特性がある(レバレッジ)。この間、金本体は約19%の上昇率となっているので、ほぼその線に沿った値動きとなっているわけだ。むしろ4倍近辺あるいはそれ以上であることを考えると、過熱気味であることは否めない。
実は、年初からその傾向が見られるのだが、金市場が調整局面入り(価格が下げ基調)の際にも金鉱株指数のほうはXAUに限らず、それほど下げないという傾向が続いている。その意味するところは、新規資金の流入である。つまり、海外の投資信託や年金基金などで金への関心が高まっているが、運用上の縛りなどで制度上、直接金に投資できない投資家も多く、そうした投資家は金鉱株の購入に向かっているのである。もちろんリスク覚悟で運用効率を第一義的に考えての金鉱株投資もあるだろう。
先に金市場では、「押し目買い」が見られるとしたが、金鉱株指数が堅調に推移していることが、金市場参加者に安心感を与え、「押し目買い」という行動をうながす作用をしているのである。そこで金価格が堅調に推移すると、金鉱株のほうも刺激されて上昇するという、相互作用が認められる。いわば好循環である。そこにインド・パキスタン問題や中東情勢、ドル安など外部要因が被さるかたちで、強調展開が続いている。
金市場だけを見ると近年稀に見る理想的価格展開とも言えるのだが、それほど簡単には行かないのも相場の常である。まずは勢いに乗って99年10月ザラバ(取引中につけた)高値である339jトライという局面が想定できるが、先週の7連騰が表すように、やはり過熱気味ではある。
野球でも“連投”すると肩を壊すように、価格展開も“休み”が必要だろう。
(5月29日記)
金融・貴金属アナリスト
亀井幸一郎

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