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(回答先: <ザンビア>米提供の遺伝子組み換えトウモロコシ拒否 危険と(毎日新聞) 投稿者 えーてる 日時 2002 年 10 月 31 日 22:47:42)
ニッポン食事情咄 第24回:トウモロコシの援助が拒否された
2002年9月16日
伏木亨
http://journal.msn.co.jp/articles/nartist2.asp?w=206470
ザンビアがトウモロコシの食糧援助を拒否した。理由は、アメリカ産のコーンには遺伝子組み替えされたものが含まれており、国民の健康と在来品種への影響を懸念したという。
同国は、1000万人くらいの国だが200万人分の食糧が不足している。トウモロコシの粉をパンのように焼いたものが主食で、近傍の国も干ばつの被害が厳しく、輸入もままならない。世界食糧計画が援助活動を行った。
9月初旬の朝日新聞の夕刊の記事だが、これは、考えさせるな。
援助拒否に対して、国民からも特に厳しい反対はないらしい。
現物は利用されずに、現時点ではたなざらし状態。別の2国は、説得に応じてコーンを砕いて、発芽しない状態で受け入れたという。HIV感染の増加が国民の健康被害に対する意識を高めているという報道もあった。
アフリカの顔が一部だとしてもはっきり見えた。単純な話じゃあないぞ。
アメリカ合衆国は当然不愉快だよね。
「なにぃーおれっちのコーンが食えないだと。よく言うぜ。ほかに食うもんないんだろうが。俺達が毎日食ってるものにケチつけるのかよ。援助してもらう身ならありがたくいただけばいいだろう。国連の善意に恥かかせるのかい」
ニッポンは複雑だな。
「えらいっ。アフリカの小国がよくぞ言った。うちとはえらい違いだ。でも、食べ物なくなってどうするのかなあ。ホントに反対意見は無いのかな。栄養不良も心配だな」
米国農務関係者は深刻だろう。
「これを契機に、遺伝子組み替え作物が、一層嫌われることになったら困ったことだ。今でも逆風なのに。飢餓の国さえ拒否するなんて、思っても見なかった。アメリカ国内ではコーンや大豆は普通のものと区別もしていないのに。また、農家の訴訟が増えるぞ」
援助した当事者の世界食糧計画やNPOは一番困っただろうね。
「アメリカ国内では普通にたべてるコーンなんだから、問題ないとおもうけど、そんなに心配することあるのかなあ。飢えてる人が目の前にいるのに。でも、強制するもんじゃあないし。悲しいことだ」
やりきれない気持ち、痛いほどわかる。ショックだったろう。めげないでほしい。
アメリカ企業の組み替え作物開発関係者はひそかに考えるかも知れない。
「うーん。惜しいチャンスだった。アフリカが受け入れてくれれば、事実上、世界に拡がって既成事実となったのに。大きな市場を逃した」
ヨーロッパはにやりとしたかも知れないね。
「それみろい、アフリカだからってバカにしちゃあいけないよ。自分ところが組み替え作物を承認してるからって、皆がそうじゃあないんだよ。ヨーロッパじゃあ心配してる人が多いんだよね。アメリカさん、ゴーマンになってはいけないよ。国内産の品種に交雑でもしたら今後自国のコーンの商品価値も下がる。砕いて入れると言う国もよく考えてるじゃあないの。
アメリカも、組み替え作物の種子や知的所有権の独り占めはよくないよ。われわれをさしおいて組み替えで一人で儲けようって根性がそもそも間違いだったんだ」
ニッポンの急進的な消費者団体は元気に言うだろうね。
「私たちの見解では遺伝子組み替え作物が健康に対して安全かどうかはまだ不明です。これを契機に反対運動を活発にしてゆきたい。今回のザンビア政府の英断に敬意を表します」
関連分野の研究者も内心は複雑だろう。
「拒否するのは自由だけど。危険なものじゃないのは証明済みなのにな。アメリカ人は食べてるけど別段問題はないし。ザンビアの健康を考えてと言うのは多分に詭弁だろ。健康に過敏になってるのはわかるけどHIVの健康被害と一緒にされたら研究者は情けないよ。国内産品種の純血を守りたかったのかもな。子供が栄養不足で発育が遅れる方がもっと深刻なのにな。将来はもっと役に立つ穀物が開発可能なのに、こんな時点で決着が付くとしたら辛い話だな」
新食糧資源開発の研究は盛んだが、関係者ははっとしたことだろう。
「いままで、飢餓なら何でも受け入れられると信じて、効率的な食糧開発の研究を目指していたのは勘違いだったかも。本来はこのような事態にこそ有効な技術だったはずだ。飢餓の人々を低く見ていたのかも」
波及効果もありそうだ。国内穀物業界も困るよね
「また、アメリカの勇み足だよ。いい国なんだけどちょっと配慮が足りないよな。ニッポンに大豆導入したときも、ろくな根回しもなしだろう。そんな危険なもんじゃあないのにボタンの掛け違えばかりやってるよ。また、国内産の大豆の値段が高騰するよ。今でも奪い合いなのに」
主婦がつぶやく。
「お腹をすかせた乳児のためなら、私は食べるだろうな。遺伝子組み替え食品といってもニッポンじゃあ特に安くもないし、別においしくもないし、何もメリットがないから買わないけれど、そんな状況ならやっぱり、欲しいだろうな。でも誰のためにわざわざあんな変な穀物作ったんだろ」
おもしろくて、やがてかなしきーーーだな。しかし、それで済ませるべき問題でもない。飢餓なのに『ノー』と言った事実は大きい。はっきり意見を言える立派な国だ。うらやましい。でも、必要な食糧ならば、ザンビア政府は、国民の飢餓の状況とコーンの健康に与える危険性とのバランスを冷静に判断すべきだ。在来種を駆逐する危険性を恐れるなら、粉にしても受け入れるべきだとワタシは思う。
遺伝子組み替えは大切な技術だけど、開発者にハートが欠けてたんだろな。誰のための開発なのかを考え直して、もっと消費する側の視点でものを作るべきだろうな。