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(回答先: Re: とても勉強になりました。 投稿者 聖徳太子 日時 2002 年 10 月 10 日 09:43:12)
聖徳太子さん、こんにちわ。
>周知の通り、日本の労働分配率は上昇の一途で、企業収益を圧迫し日本の供給サイド
>の力を弱めている、従って、賃金は長期間にわたって(少なくともGDPデフレータが
>プラスになるまで)引き下げられる必要がある(現実にはそうなってきています)と
>考えていたものですから、今の日本の状況下で給与引き上げが有効とまでは思いもつ
>きませんでした。私は少し常識に囚われ過ぎていたようですね。
90年代の労働分配率上昇は、賃金の引き上げではなく、賃金の“下方硬直性”と「デフレ不況」による売上高減少によって生じたものだというのが重要です。
賃金の“下方硬直性”と「終身雇用制」が、日本経済の崩壊を阻止していたとも言えます。
73年の「第一次石油ショック」をまとまなかたちで乗り切った先進国は日本とドイツだけです。
(他の先進国は、スタグフレーションから基本的に抜け出せないまま現在に至っています)
日本がスタグフレーションを乗り越えた要因は、生産性の上昇と労働分配率の引き上げです。
“狂乱物価”で1年間はマイナス成長でしたが、この段階で労働分配率を上昇させたことが、赤字財政支出の増加とともに、鈍化した輸出増加や設備投資増加で生じる需要不足を補いました。
70年代に上昇した労働分配率(別の面で言えば配当流出の抑制)をベースにしながら、80年代も少しずつベースアップが行われたことが、安定成長期の日本経済を“結果的に”支えたのです。
財の価格上昇は生産性の上昇や輸出増加の鈍化などで抑えられているので、賃金水準の上昇がサービス業の需要拡大に貢献し、現在的な産業構造を形づくっていきました。
失業率が2%未満という完全雇用状況が、幅広い産業分野の給与水準を優良企業の給与水準に近づけさせる誘引でもありました。
>一つ確認しておきたいのですが、あっしらさんのいう給与の引き上げとは輸出企業の
>みを対象にしたものでしょうか? 円安への経路が輸出財価格の上昇を通じてとなっ
>ておりますので、多分そうではないかとは思いますが。それとも、マクロ経済的に全
>産業の給与引き下げを念頭に置いているのでしょうか?
トヨタなどの輸出優良企業の賃上げを呼び掛けています。
それらの企業従業員の可処分所得が増加することで、他の財や用役を供給する企業の売上増加につながり、それらの従業員も後追いで給与が上がっていくことで、先陣を切って賃金を上げたトヨタなどの輸出優良企業の売上も増加するという国民経済的循環構造を考慮した経済再生を考えています。
このような国民経済的循環をスムーズに動かすために、「低中所得者減税(負担減)」を同時に行うことも提唱しています。
意識的賃上げで労働分配率が一時的に上昇しても、売上の増加や単価の上昇で元に戻るはずです。
10兆円を超える経常収支黒字分は、賃金の上昇に活用できます。
(逆に言えば、経常収支とりわけ貿易収支が黒字の段階でこのような策を採る必要があります0
>インフレ政策が結局デフレをもたらす危険があると同様に、下手をすると内需増加策
>がやはりデフレ的な結果をもたらしかねない可能性もありますので。とにかく、私の
>中で、もう少し咀嚼してみたいと思います。
のちに聖徳太子さんが考えられた内容をアップしていただければ幸いです。