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(回答先: 「共産主義国家」の破綻原因 − 所有形態や計画経済にあらず − 投稿者 あっしら 日時 2002 年 9 月 28 日 00:02:53)
最初レーニンたちは、貨幣経済すらなくそうとするような過
激な共産化に「戦時共産主義」という形で挑戦したのです。
要するに､農作物を農村から貨幣を介さずに徴収して、代わり
に農具・農業機械、工業品などを都市から農村へ配分するとい
うようなことをしたわけです。
しかし、余剰農作物を売って儲けることができないので、「
どうせ余りは持っていかれるのならあまり作らないほうがまし
だ」思った農家が自分たちの分しか作らなかったのです。
それでは都市が困るし、戦争が継続できないのでレーニン達
は強引に農作物を奪い取り、多数の農民が餓死しました。
その頃には都市の工業も、商売や労働による貨幣収入がない
ので生産活動の動機が失われ、工業品の質・量は悲惨な状態に
陥りました。
そうして、低迷化した経済の復活のため、中小の商工企業の
生産・商売の自由化、農作物の売買の自由化という自由市場を
部分的に認めたＮＥＰ体制が採用されたのです。
それ以降、ソ連では「貨幣経済の廃止」に挑戦することは２
度とありませんでした。貨幣の廃止、貨幣利潤の廃止など簡単
に出来ることではなかったのです。
ＮＥＰによって存在がゆるされ育っていく中小の資本家や富
裕農家が、独裁共産政権とその体制を脅かすと怖れたスターリ
ンたちは、再び中小企業の活動を制限したり農村を強引に集団
化したりして、資本家・自由市場の存在を弾圧しました。
そうしてソ連は個人の発想・発案や欲望・野心の自由な発露
をシステムや恐怖政治によって押さえつける社会になっていっ
たのです。
かわりにスターリン個人や国家が決定した事業を国営企業幹
部や（解雇されうる）賃金労働者たちに、報酬の多寡などの賞
罰を基礎にしたノルマ制によって行わせたわけです。この辺で
スターリンたちは色々な工夫を考えたり、実践的試行錯誤を繰
り返したわけです。
ソ連は計画経済なので、基本的に企業間競争のない社会でし
た。国営企業は計画にのっとった原材料の交付を受け、計画さ
れた期限までにノルマの一定量、もしくはそれを超過した量を
生産すればよかったのです。しばしばノルマを超過するほど幹
部が高い評価を受けたり、利潤ならぬ「特別手当」が幹部や労
働者に支給されたりしました。結果、製品の質や需要を省みず
にただ多量に、もしくは大きな合計重量分、ある製品が作られ
たりもしました。
企業の生き残りのための条件とか企業間競争とか企業の特別
利潤の取得がこの類の状況だったので、生産様式の更新とか生
産における新技術の導入とか新製品の生産、製品の質の向上と
かは停滞しました。
しかし、これは悪いことばかりではないと思います。もとも
と生産活動とその技術的発展によって人間が苦しめられたり追
い立てられたり支配されたりするのを止めさせることは、共産
主義の目的の１つでもあります。失業や倒産の心配がなくなる
方を優先するなら、生産技術の発展などの停滞は別に悪いこと
ではありません。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。