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Re: ありがとうございます 投稿者 近代ーー 日時 2002 年 9 月 10 日 11:11:17:

(回答先: 「近代化…」さん はじめまして 投稿者 如往 日時 2002 年 9 月 07 日 06:57:23)

如往さま
ありがとうございます。
自尊心は社会的・文化的レベルのもの、及び実存的・存在論的レベルの2層からできている、と考えています。これは相対的な自我と絶対的自我に対応します。人は日本人として、あるいは中国人として生まれるのではありません。生まれたこどもはまっさらで中立的な意識状態です。その後、たとええば、親のはなす言語、日本語を通じて、家庭や学校や社会を通じて、その文化や社会の価値体系が意識に刻印されていきます。つまり、日本人として生まれるのではなく、日本人になる、あるいは日本人が獲得されるわけです。江戸時代の庶民の価値体系と明治憲法下の庶民の価値体系はずいぶんことなっています。それぞれが、異なる自己認識をしており、おのおのの価値体系に応じて自尊心が形成されます。これが文化的・社会的自尊心です。しかし、これは時間と空間の軸によって決定されてくる、相対的なもの、変化流動するものです。千変万化するものです。全てが臨時の内容にすぎません。
  一方、存在論的自尊心とは、絶対的自我を基礎としています。全ての人間は、宇宙的自我・普遍的自我に属している、と考えています。ここは不朽不滅の絶対的絶対、絶対的確実の次元。全ての創造の根源的・窮極的次元と考えています。わたしはそれを生命と呼んだり、創造と呼んだりしています。(ただ、それはいかなる意味でも 俗にいう「神」などではありません。)

  ですから、わたしは、日本人ですが、同時に日本人ではないわけです。日本という国や社会に属していると同時に、それを超越し、宇宙に属しています。そして本質的基盤は後者の方なのです。

人は相対的自我に撞着させるかたちで、社会的・文化的自尊心を形成しています。これは意識の中で大変な呪縛・拘束となります。昨日まで、部長だった。今日はリストラで、社員ですらなくなった。社会的自尊心が壊され、鉄道に飛び込んで自殺した。人は社会的自尊心をキュウキュウと守るため、自損・他損行為に容易にでます。メンツやプライドが潰された、となると、もういてもたってもいられない苦しみを覚えます。怒号したり、泣叫んだり、自分が保てないと感じやけくそになったり。殺人や傷害事件などざらです。子供を有名校に入学させるため母親が塾の先生と寝たりなど、笑えないような、しかし親としてのプライドのためならどんなことでもやりかねません。全て社会的自尊心をみたすためなのです。
  望ましいのは、宇宙的自我・普遍的自我のレベルでの自尊心を基礎とすること。で、社会的・文化的自我に基づく、自尊心は、あくまで、時間軸と空間軸によって規定される相対的なもので変動にさらされる、いわば諸行無常=変化の法則にさらされる、はかないもの、一種迷いのようなものである、という理解をすることが肝心だと思っています。社会的・文化的自我というのが、以下に行動や認識を限界づけるのか、そのメカニズムを理解している限り、社会的・文化的自尊心の罠に陥る事を避けることができると考えています。

自分は日本人だが、同時に日本人を超えておおいなる生命に溶け込み、全ての他存在と融合一体化している。そのように理解することをつうじてしか、他者・他存在と和解することは不可能と考えています。狭い個我を超越する視点=trans-personalな視点が必要と考えています。

たとえば、日本人としての民族的誇りというのは自他共に拘束してしまうトリッキーで危険な概念だと思っています。愛国心というのは、社会的・文化的自我への撞着を強め、集団的に危険な行為を誘発するもので、十分な警戒心が必要なところである、と考えています。

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