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(回答先: Re: 近代的政治理念と「大日本帝国」 投稿者 近代化とその戦争からわれわれは何も学んでいない 日時 2002 年 8 月 24 日 03:47:05)
「近代化…」さん、こんにちは。
正式には初めてmailさせていただきます、
先ず、書記長さん宛の間接的なメッセージに関して補遺しますと、多分「近代化…」さんの方が新しいこと（歴史を相対化する術の構築）を学ぶための時間と、より学ぶ意欲を持ち合わせているのではとの推察を基に、書記長さんが戦前・戦中日本の存在様態への撞着により傾いているとすると、他者に促され敢えて日本的なるものの何たるかを再点検するなど受け容れ難いだろうなと考えた次第です。
ところで、私は女なる存在の様態を特徴づける概念にMatrix、同様に男なるそれにConceptを充てて思料するのを常としていますが、固よりMatrixが極めて現実性が充溢した様相を呈するものであるのに対し、Conceptは時間限定的で虚構性に満ちた様相と措定しています。例えば、蜜蜂の社会では、働き蜂によってつくられた女王蜂は年毎に群れを再生させていくMatrixとして非常にrealな存在ですが、やはり働き蜂によってつくられる雄蜂は交尾が終了するまでの短期間の儚い存在です。
複雑に発達した脳を持つ人間、とりわけ雄は意識のどこかで自身の時間的有限性や虚構性を覚り、それ故に新たなコンセプトの創出に励まざるを得ず、その所産が自尊心、信義、騎士道精神、武士道精神と云われるものになったのではないでしょうか。ここではそれ等の論評に及びませんが、この依拠すべき何かを求めて止まないのは男なるものの性分なのかも知れません。さらに、男なるものと女なるものは一個の人間に内在する男性・女性の身体性を伴った外化に過ぎず、どちらかに固定化していくこともあるいは宥和化していくこともあり得ると捉えています。何れにしても、「近代化…」さんによらず書記長さんによらずどんな自尊心であっても携えていく外はないのでしょう。しかし、仮に人間という生類が自尊心を捨てあるいは超えることがあるとしたら、おそらくMatrixのもつRealityないし大いさに抱かれていると感じ取るときであろうと思うのです。
さて、歴史を相対化する術を構築するのを難問と捉えるのには、縄文人と弥生人の混交の状態とその産物がどうであったのか、次にペリー来航からこの間の敗戦とその後も日本人は自身で答を出し評価を加えて来たのか、左翼・右翼共に戦後派に属する私も含めた現在の人達がこうした自問に真摯に解答を与えて来なかったという反省があります。そして、「近代化…」さんが縷々述べられていることの趣旨はまさにそこに収斂していくのではないでしょうか。
私達は再び歴史を相対化していく新たな緒についたばかりであるのにも拘わらず、そのために依拠すべきMethodもArtも有し得ないと以前述べました。けれども、せめて復古調に偏ることなく国の成立を辿り、明治維新と後の１５年戦争に対時し、さらに敗戦の周縁に纏わる無反省に直面することにおいて幾つかのArtの可能性を探る他に道はないと考えます。そして、何故無反省なのか、それは敗北から復興に関する答と解法を主に勝者から付与されてしまったことに起因するのではないでしょうか。世界という大舞台で大人になろうとした青年がまたしても子供扱いをされたまま、今日があるのです。
それでも、私達日本（人）は一刻も速く大人になるよう学んでゆかねばならぬと、そう思うのです。
この辺で失礼いたします。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。