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(回答先: bakaでもわかる「あっしら」経済学 - その2 投稿者 baka 日時 2002 年 8 月 31 日 23:04:55)
円高=国際競争力劣化とは考えていません。(日本の輸出企業経営者・政府・多数派国民は“円高恐怖症”にとりつかれています)
「労働価値」の上昇を怠ったり、デザインや機能性という開発力に乏しい企業は、通貨的な競争力の支えを失うことになりますが、原材料・生産財に占める輸入財の割合は高いのですから、それらに人々の智恵を吹き込む開発の進展では有利になります。
さらに言えば、円高は、国内政策とりわけ勤労者の給与水準を上昇させることで緩和もできます。全部が一斉に上昇するというかたちではなく、円高を誘発した産業から順次という循環的な給与水準の上昇でいいのです。
農業のように、どこもが第一義的な財(必需財)と考え、自然規定性が高く資本の高度化(「労働価値」の上昇)に限定性が強い産業分野は、一人当たりGDPがそのまま国際競争力の劣化につながります。農業分野は、日本に限らず、“自由貿易”の適用から除外されています。(所得補償など国内政策を含むかたちで...)
繊維産業など非農業産業分野は、円高というより“貿易摩擦”で国際競争力を劣化させられました。繊維分野も、“貿易摩擦”がなければ、原料も輸入のものが多いので、円高を乗り切る「労働価値」の上昇を実現できたでしょう。日本の技術力に照らせば、繊維産業が外的要因で抑え込まれなければ、繊維産業でも画期的な製造装置を造りだしたと思います。
国際競争力の劣化要因が円高なのか貿易摩擦なのかは別として、80年代までは、おっしゃられるようなかたちの資本(労働力を含む)移動と生産する財の高度化(デザインや機能の強化及び技術応用別製品)で円高を乗り切ってきました。
しかし、このような変動は、競争力劣化がなくても、輸出総体を増加的に維持するためには必要なものです。
輸出を増加させるためには、外国の輸入購買力が増大しなければなりません。輸入購買力が増大するためには、輸出増加が実現されなければなりません。そのためには、日本も輸入を引き受けなければならないという構造です。ざっくばらんに言えば、付加価値の低い産業を外国に譲り、その代償として付加価値の高い産業の輸出増加を維持するというものです。
日本の大きな誤りは、輸出増加のために食糧生産を犠牲にしすぎたことです。
電気・電子製品及び自動車などの輸出拡大のために、食糧の輸入割合を大きくしてきたことは愚策です。食糧自給率を70%にするために、現在の代表的な輸出製品の輸出額が減少することもやむを得ないという政策判断ができないような国家は、滅びへの道を進んでいくと考えています。
また、国際競争力を劣化させた産業(物づくり)は、その技術を国策として維持すべきです。「労働価値」の上昇は即機械化ですから、機械化が遅れた分野は国際競争力の劣化を意味しますが、人の活動力でつくる行為に機械化の源泉があります。それを忘れて、機械化=「労働価値」上昇主義に走ると、長期的な競争力(智恵と文化)が失われていきます。(自動車産業のF1参入もそのような点では意義があります)