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「その1」の続きです。国民的統合軸とは、強制力の発動なしに、国民の大多数が、「わが国の当面の国家目標はこんなもんだ」と自発的に納得・合意する価値判断基準です。イデオロギー教育と若干の強制力は働きましたが、韓国が朴政権時代にやった半日教育と、それをバネとする「日本をしのごう」という強烈なナショナリズムも、その時代の各国の国民的統合軸でした。しかし、第2次世界大戦に負けて、固有の民族国家的アイデンティティに自信を失ったまま、実利主義でやってきた日本は、経済建設が一応のピークを迎えたあと、目標喪失状態のままです。「地球にやさしく」とか「癒し」とか「まったり」では、抽象的かつ感覚的過ぎて目標にはなりません。
さて、あっしら氏の論述ですが、いろんなテーマについてそれぞれに自分の見解を表明されていますが、あまりに多岐にわたるポレミークのため(小生の力量不足もあって)一括してコメントしにくい。立論の立場も「理想主義的ヒューマニズム」的なものから「性悪説」をベースにしたリアルポリティーク論まで多彩です。もちろん、すべてのイシューに対し、全て一環した立場をとる必要はないわけですが、あらゆること(と言うとちょっとオーバーですが)を論じられると(それだけ知的好奇心が旺盛で、情報処理能力、つまりCPUの容量が大きい、ということでしようが)、受け取る側は、自分の興味のある分野しか、読まなくなるものです。
そこで、これまでの小生の立論に沿った観点からいくつかの分析軸(というと少し大げさですが)を定期するにとどめます。もちろん、小生の力不足のせいでもあります。
@中国が「承認国家」「脱イデオロギー国家」に完全になるか。せいぜい、穏健な中華主義をベースにした国になるか。中国共産党支配が名実ともにフィニッシュするか(小生は「フィニッシュする」派ですが)。
Aロシアもソフト・ナショナリズムプラス経済至上主義でしばらくも、国家運営をするのか。
Bイスラエルはじ、人口増加率で圧倒的に不利なまま、現在のロケーションのイスラエル国家を維持していくのか。国家維持のための軍事力強化を続けるのか、また、続けられるのか。田中宇さんが最新のレポートで指摘しているように、多くの国民が別の地域に移る(何回目かのエクソダスですね)ないのか。
まだまただ、山ほどアポリアはありますが、二見書房からでている「近未来軍事シュミレーション小説」(国務省系あたりのシンクタンクのアナリストやそれに近いジャーナリストが筆者ですが)のように、考えられるシュチエーションを順列級数のように組み合わせてみても、「高級版テレビゲーム」になるだけですので、今回はこの程度で。
日本は、当面、観念的、イデオロギー的な協力な統合軸は出てこないでしょうから、平凡ですが「米中の間で、ハイテク開発力を保持した高度氏湾主義国家としてバランスをとる」「ナショナリズムを煽って、軍備強化にももう少し力をいれ、東アジアで独自の外交を展開する」(経済的には円経済圏の確立でしょうが、しかし、今の経済情勢ではこのオブションは遠のきましたね),「中国との提携を深め、中国の生産拠点のひとつといった立場で、やはり、経済繁栄至上主義を国是とする」あたりでしょうか。ただし、戦後は米国に牙をむいたことすらない(田中角栄の反逆は「擬似牙剥き」といったところでしょう)ので、そういうオブションを選んだ場合の米国の反応すら、ほとんど予測できません。だから、匿名氏のように「今のままがいい」という声もでるのでしょうが、いつまでそれでいけるか。「米国と2人連れ」路線の耐用年数はほぼ尽きたように思えます。近々、再論します。