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(回答先: 有事法制ゼネコン汚職 投稿者 日時 2002 年 6 月 26 日 17:24:57)
世界の人工衛星ですが、これまで打ち上げた人工衛星の数は5,433機です。日本は今年2月現在まだ
88機です。そのうち、今軌道上を飛んでいるのは半分ぐらいで、日本は75機。この2,600機中約2,000は
燃料切れや材料の故障で使えなくなっているので、今動いている衛星は世界で600機、そのうち日本は
25機になります。そのうち、通信放送衛星が圧倒的に多く300機、観測衛星30機、科学衛星30機等々で
す。この2,600機中の2,000機は宇宙のゴミになっていて、これをどうするかが大問題となっています。
たまには落ちてきますが、下手すると宇宙ステーションにぶつかるということもありえないことはな
い。
これからの打ち上げ計画ですが、昨年度このH-Aの試験が終わりまして、今年度は今年9月にデー
タ通信衛星を打ち上げます。次に3月から4月にかけて情報収集衛星という安全保障衛星を打ち上げ
ます。そしていよいよ来年に今もたついている気象衛星の新型を打ち上げます。それから地上観測衛
星、技術試験衛星、インターネット衛星、月周回衛星を打ち上げ、日本製宇宙ステーションの部品を
数回に分けて打ち上げるというのが、これからの日本の宇宙計画です。
冒頭ロケットの話をしましたが、ロケットを打ち上げることが軍事目的かどうかと時々誤解を招き
ます。今回打ち上げたロケットはほとんど兵器としては使い物になりません。アフガニスタンやイラ
クでも使われた戦争用のミサイルというのがありますが、これにすべて固体燃料を使います。さきほ
ど説明した補助ロケットも固体燃料です。今打ち上げている世界のほとんどの大型ロケットは、燃料
に液体酸素と液体水素を使います。液体酸素と液体水素を混ぜ合わせて燃やし打ち上げます。53mの
ロケットの長さのうちの70%くらいが燃料タンクです。打ち上げる衛星は4〜10tなのに、そのため
に300tのロケットを時速3万kmで打ち上げなければならない。膨大なエネルギーを使いますし、300t
中の290tほどは海に捨ててしまいますので、いかに軽くするかというのが大問題です。
大型ロケットは液体酸素と液体水素を使いますが、液体水素はマイナス250℃、液体酸素はマイナス
180℃ですから、これをロケットに入れた途端に超低温になるので、放置するとだんだんロケットの構
造の一部がいたんできます。皆さんが流氷の海に飛び込んだら死んでしまうように、いきなり常温の
ロケットの中にマイナス250℃の液体水素などを入れますからいたんでしまうのです。ですから燃料は
打ち上げの直前まで入れません。ビデオでは11時45分に打ち上げましたがその7時間前の午前4時頃
に、7時間後の気象予想を正確に検討しなければなりません。風速25m以上になったらロケットが横
に振られるので、ロケットを打ち上げることはできません。高度800m以下に雲が下がってきても打ち
上げができません。7〜8時間後の天候を正確に予測して燃料を入れるかどうかを決めます。燃料を
入れ終わるまで6〜7時間かかります。
環境問題こそ日本の宇宙開発のサバイバル道
日本は種子島と内之浦(鹿児島県大隈半島)しかロケット打ち上げ場はありません。アメリカでも
3〜4ヵ所しかないということは、人工衛星がこれだけ飛んで、飛行機も飛んでいる時代に、7〜8
時間前に燃料注入を始めたら絶対にわかってしまいますから、こんなものは兵器にはなりようがな
い。衛星を上げるという点では若干軍事目的がありますが、大型ロケットは兵器としては使いものに
はならない。打ち上げ準備が始まったらすぐ見つかってしまうのです。ロケットは、役割としては衛
星を打ち上げるための手段に過ぎないのです。
宇宙の目的はロケットではなく、衛星です。衛星は何をしているかというとまずピンとくるのは気
象観測衛星、BSあるいはCSのテレビ放送衛星、カーナビのGPS(Global Positioning System)衛星など
でしょう。
大きく分けますと、今一番使われているのは放送通信衛星です。Broadcasting衛星(BS)、
Communication衛星(CS)は完全にビジネスになっています。日本企業は残念ながら世界市場でほとん
ど注文が取れません。生産個数がヨーロッパやアメリカに太刀打ちできないということと、5〜6年
前に「スーパー301条」というアメリカとの貿易摩擦で日本の衛星は国際調達しなければならない義務
を負いました。年間数十機つくっている会社と1〜2機つくる会社ではコストが違いますし、日本は
給料が高いので、やっと最近2個ほど三菱電機が受注をとりましたが、商売としてはなかなかうまく
いかないのが残念ながら現状です。
アメリカ、ロシア、ヨーロッパを中心に軍事目的衛星があります。去年の6月にパリでフランス人
の友人と話してびっくりしたのですが、「(ロシアのコソボ紛争の舞台になった)コソボの上空にア
メリカの軍事衛星が60個飛んでいて、ヨーロッパは1個しか飛んでいない。この現実を知ったほうが
いい」と言われました。大量の衛星が特にアメリカを中心に世界を飛んでいます。日本は別ですが、
ロシアは宇宙開発の原点が軍事目的にあったのです。つい先日も「日本の情報をすべてつかんでいる
らしい衛星が見つかった」と新聞に記事が出ましたが、日本が何をしているか、日本の携帯電話でど
のような情報が飛んでいるかは、ほとんど衛星技術で盗聴されていると考えたほうがいいというのが
現実です。
http://www.zeroemission.co.jp/B-LIFE/SFC/speech02/sp0205.html