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(回答先: ベトナム集団焼身自殺事件 証言テープはこうして作られた３ 投稿者 ＨＥＭ 日時 2002 年 6 月 11 日 23:34:35)
誰も信じない談話
たとえようもない悲惨な事件の記録は、なんとかこのようにして残ることになったのである。もしこのテープが存在しなければ、この事件は愛国仏教会関係者が伝えたとおり、セックス・スキャンダルにもとづく色事師の集団自殺事件として片づけられていたかもしれない。
さらに詳しくテープの行方を聞いてみると──。
殿岡 テープが仏教関係者にわたったとき、マンザック先生はベトナムのどこに住んでいたんですか？
マンザック サイゴンです。
殿岡 自殺があったのはカントーですね。さっき言ったガーさんは誰にテープをわたしたんですか？
マンザック クワンドー先生に渡しました。
殿岡 それはカントーでですか？
マンザック はい。
殿岡 で、クワンドー先生はそれからどうしたんですか？
マンザック そのまま持って仏教評議会に渡しました。サイゴンにもって帰って、みんなで聞きました。クワンドー先生は仏教関係者の調査団の団長です。
殿岡 ガーさんからクワンドー先生にテープが渡ったんですね。それでみんなでテープを聞いたわけですね。何年何月かわかりますか？
マンザック 七五年十二月か、七六年一月ですね。仏教評議会がこれを聞いてから、現政府が仏教を弾圧したんです。危険だったが、誰も外国に逃げないから、結局私に渡された。仏教評議会の決定で、私に預けて外国に行くようにといわれたんです。
このテープ以外にも、仏教評議会が弾圧された資料を持っていました。その資料はまだ持っています。
殿岡 仏教評議会が開かれてさきぼどの決定がなされてから、ずっとテープを持っていたんですね。
マンザック ベトナムを脱出したときは小さな漁船だったから、すごく濡れました。テープを水に濡らさないように苦労しました。そのときは、壊された仏教の観音像の写真も持って出ました。「このテープは大切にしてください」と言われました。「そうすれば、現政権をひっくり返すことができるのだから」と。
殿岡 それでパリについたのはいつですか？
マンザック 七六年十月十二日です。フランスに滞在したのは三カ月で、あとアメリカヘ行きました。フランスにいたときは、全国を回って、このテープを仏教の信者に聞かせたんです。
殿岡 脱出するまではクワンドー先生が持っていたわけですか？
マンザック 仏教評議会が持っていました。誰のものということはないです。
殿岡 仏教評議会のメンバーというのは何人くらいいるんですか？
マンザック 十二人です。委員長一人と副委員長二人。あと各部、財政、教育、建設といった部門を九人で担当しています。
本多記者は七七年にベトナムに行って、官製の仏教統制機関である愛国仏教会による「この事件は殉教ではなく、セックス・スキヤンダルがもとで多数の人間が死んだ」という発表を聞いたときに、それを信じたか、信じなかったか。彼は「自分ではわからない」と書いている。
これだけ有名な事件である。愛国仏教会関係者による談話を聞いて、そのとき嘘か本当かわからないというのはおかしいと私は思う。ともかく、録音されたテープがいかにしてマンザック師のもとにわたり、公表されることになったかがおわかりいただけると思う。一方で、本多氏はこの裁判のためと思われみが、昨年になって、マンザック師からこのテープを手にいれている。しかし、本多氏が入手したテープは私のもっているテープよりもはるかに録音時間が短く、勤行の部分もはいっていない。これは私がマンザック師からもらったテープの複製がいくつかあり、本多氏のテープはそのひとつだと考えられるのである。本多氏は、「テープにはこれから死ぬお坊さんの名前がない」という。それが先日の公判の一番大きな点で、二番目が、書いた内容とテープが違っている、現場で録音したものではない、といっている。
その他にも何かいっているが、決定的に問題なのは、名前をあげているところが自分のテープにはないという点である。しかし、私がもっているテープには勤行のあと、前述したように入っていて、名前を読み上げたあと、またお経を唱えている。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。