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(回答先: 偏差値教育とゆとり教育 投稿者 GOE-MON 日時 2002 年 6 月 03 日 18:29:50)
日本の私立大学の、目を覆いたくなるような現状についての記事を見つけたので是非紹介したくて、初めて書き込みをしました。教育の問題は、偏差値でもゆとりでもなく、「大学卒」の学歴にしか価値を見出そうとしない世間的価値観や採用する側の問題ではないのでしょうか?どこでもいいから「大学」と名のつくところに入ってしまえば、それでどうにか格好がついた時代はとっくに終わり、親には教育の為の資金、子供には学ぼうとする気力が、もはや枯渇してしまったというのが現実の姿ですから、この記事に書かれたような惨状は、これからますます酷くなるはずです。
また、以下の記事が告発している「私学への公金(補助金)支出は違憲」という問題提議がなぜこれまでに、マスメディアの間でなされて来なかったのかという問題も非常に重要だと思います。
教育の最終目的とは、大学卒の学歴を手に入れることなどでは無論なくて、「真理を見分ける力を身に付けること」にあると考えています。人間の本質を見抜く目や物事の真実を聞き分ける耳で、自分ひとりでも「より正しい判断(正義は絶対的なものではないので)ができる強靭な心を持つ」ようにすることが何より大切なのだと。まさにそれこそが「生きる力」となるのではないかと信じています。
雑誌『選択』2002年6月号の記事から
http://61.202.203.27/keisai/zenbun.htm
ザ・サンクチュアリ●シリーズ333
私立大学「欠員率」
— 全国四九三校の「極秘データ」 —
日本には自衛隊のほかに、もう一つの「解釈改憲」がある。文部科学省の私学補助金だ。憲法八九条に明らかに抵触するのに、日本私立学校振興・共済事業団を通じて私大にバラまかれてきた。増え続けるこの補助金、文科省の私学コントロールの武器となり、少子化に喘ぐ私学にとっては命綱だが、今や「無用」の私大へ垂れ流しという欺瞞の塊。ここでも解釈改憲でしのいできた戦後日本の病巣が浮かぶ。
正式には「私立大学等経常費補助金」という。行革の時代に逆行して、二〇〇〇年度には前年度比二・一%増の三〇二六億円余に達している。「教育」という聖域のなかで、スタートして三十年間に二十三倍に膨張した。
最大の問題は、学生が集まらない私大にまでバラまかれていることだ。日本の私大の収入は、その八割を学生からの入学金と授業料に依存している。学生からそっぽを向かれて定員割れを起こした大学は即座に経営危機に陥る可能性が高いのである。
それを物語る文科省の特殊法人の極秘資料を入手した。文科省の補助金交付の窓口である「私学振興事業団」が昨年十月に作成した内部資料である。二〇〇一年度入試における全国の四年生私大(四九三校)の入試状況——入学定員と受験志願者数、実際の受験者数、合格者数、実際の入学者数、志願倍率、そして定員に対し、どれだけ入学したかを示す、学生の「充足率」をまとめ、一覧表にしている(二〇〇二年度入試の結果は近く確定)。
史上最悪の一四九校が定員割れ
同事業団は毎年、補助金交付の資料にするため、全私大から入試状況について具体的な報告を求めてきたが、全体傾向を示すだけで、その個別データは一切公表してこなかったのである。
この資料によると、充足率が一〇〇%を切った大学、つまり定員割れとなってしまった大学は、〇一年度、史上最悪の一四九校にも達した。四三九校の三〇・二%にも当たる数字である。
実は、定員割れの大学は九六年度にはわずか三・八%に過ぎなかったのである。それが九八年度に八%、九九年度に一九・八%、二〇〇〇年度は二八・二%、そして〇一年度は遂に三割の大台に乗ってしまった。
(中略)
これらのワースト10を含め、入学者が定員の半分に満たないという大学は実に二十二校(全体の四・五%)、八割未満にしても八十一校(一六・四%)に上っている。ひどすぎて事業団も発表できなかったのだろう。一覧表に含まれない短大の場合はさらに深刻で、四四九校中定員を満たせなかった短大が二四六校と、五四・八%に達している。ある大学の会計監査を担当する税理士は「内情を漏らしたとたん、うちの大学はつぶれかねない。破綻前の金融機関のようなものだ」と語る。
一部には、決算書を粉飾して経営をよく見せかけたり、入学者などの数字を実際より水増しして、受験雑誌などに発表しているところもあるという。これは短大の例だが、愛知県稲沢市の愛知文教女子短大は、一昨年度と昨年度の入試で、予備校や出版社に対し、志願者数や合格者数を実数より最大約三・一倍も水増しして発表していたことが最近になって発覚した。志願者が激減したため、粉飾したのである。
問題はそれにとどまらない。今回、本誌がこのリストと同事業団が公表している「私大補助金先一覧」を照らし合わせてみたところ、定員割れが判明した一四九校のうち一二七校に対して、二〇〇〇年度中に三九〇億円近い補助金が支出されていた。
従来は、学部、学科単位で定員の五割を割る大学には私学補助金は下りなかったが、このリストで五割を切った大学(ワースト22位以下)にも総額十九億八六八三万余円が支出されている。定員割れが続出しているため、事業団は交付条件を緩める救済制度を創設し、バラまきを続けているのだ。
(中略)
「違憲」を熟知していた故竹下首相
(中略)
最初に記したが、そもそも憲法八九条には「公金その他の公の財産は(中略)公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」とある。公の支配に属しないはずの私学に公金(補助金)を支出してはならないというのだが、それが尻抜けになっていることを誰よりも熟知していたのは故竹下登元首相だった。九四年のインタビューで私学助成は「絶対憲法違反だな」と明言している。ところが、ヌエのような解釈改憲のもとで、今や大半の大学にバラまかれているのだ。
定員割れの主因は、もちろん少子化だが、それは突然やってきたわけではない。七二年から七四年にかけて「団塊ジュニア」世代の年間出生数は二百万人を超えたが、これが二〇〇七年には約一二〇万人へとピーク時の六割に落ち込み、この時、進学率が現状の四〇%前後で推移しているとすると、大学の実質合格率は一倍を切る——という予測は決して、目新しいものではなかったはずだ。
ところが、買い手(大学)市場だった「大学バブル期」に、臨時定員増を文部省に認めさせ、学費と私学助成金で不動産や金融資産を溜め込んだ私大が少なくなかった。その蓄積と、最後には文科省が助けてくれるだろうという甘えの意識が、教職員のリストラや合理化、他大学との合併、魅力的な大学作りといった抜本策を遅れさせた。
金融行政の二の舞いはご免
文科省私学助成課は「昔のように大学を作れば人が集まるという時代ではなく、今後は淘汰される。大学側にとって経営困難が予想され、学生に志願してもらうために、各大学が個性ある教育、経営努力が必要になる」と話している。だが、実際には、私大のなりふり構わぬ生き残り術ばかりが目立つのである。
一部の大学は、学生の青田買いを始めている。教職員が高校を回り、推薦入試で志願者を集めるだけでなく、校長OBらを雇って学校訪問をさせ、入学者を獲得すればそれに見合う歩合給を払う大学もあるという。酒田短大のように、中国人留学生らを大量に入学させ、定員割れの穴埋めをしているところも少なくない。
しかし、青田買いされた生徒の多くは、ほとんど勉強しない。そのために生徒の学力はますます低下し、入学しても講義についていけない。一方、中国人留学生の中には、不法就労のために来日する者も少なくない。一部の私大では、中国からの替え玉入学(入国)を防ぐために、職員が訪中して入学志願者のビデオまで撮っているという。
私大は全大学生の約八割を占めるが、もはや経営者の甘えと、文科省のなし崩し的な「私学救済」は許されない。
だが、「今の文教政策はかつての護送船団方式のように補助金をバラまきはしない。原則、定員が半分に満たない大学、負債が資産を上回る大学には補助金は交付しないことになっている。税金を効果のないところに拠出するのはおかしいと考えている」と文科省は言う。公的資金をつぎ込んでなお混乱の続く金融行政の二の舞いはご免だ。私学の窮状と補助金の交付の実態を開示し、学生を集められない私大は退場してもらうしかない。